Subject  : 食品の保存

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  食品の保存
食品は、収穫、保存、加工の状態によってその形状や成分が変化します。 そのような食品の変化に影響する因子には、
  1. )水分蒸発や吸湿のような物理的要因、
  2. )食品中に存在する酵素によるたんぱく質分解ならびにポリフェノールなどの酸化、あるいは不飽和脂肪酸の多い魚肉などにおいて認められる油脂の変敗といった化学的要因、
  3. )微生物の繁殖に基づく要因
があります。これら因子の影響を受けた食品は、本来もっていた形、色、香り、味、栄養成分などが損なわれ、可食性を失ってしまいます。栄養成分の変化としては、ビタミン類の損失が注目されます。食品の保存状態にもよりますが、一般にビタミンCは極めて不安定で分解されやすく(表参照)、他のビタミン類は比較的安定であると考えられています。食品中に細菌やカビなどの微生物が増殖したときは、有害な毒素が産生されることもあり、衛生上極めて重要な問題になります。食肉は微生物が繁殖しやすい環境ですから、その保存には特に注意する必要があります。
 食品の保存には、上記の食品の変質に影響する物理的、化学的あるいは微生物が関与する因子を取り除く処置がとられています。具体的な方法には、冷蔵・冷凍処理、脱水処理、加熱処理、燻煙処理、紫外線殺菌、放射線照射、マイクロ波加熱、塩蔵、糖蔵、酢酸やクエン酸などの酸の利用、食品添加物(保存料、殺菌料、酸化防止剤など)や脱酸素剤ならびに真空包装の利用、不活性ガスの利用などがあります。大部分の食中毒菌は、5℃以下の条件では繁殖や毒素の産生を行いませんが、一部の食中毒菌は繁殖することがあり注意する必要があります。一方、凍結保存は微生物等の繁殖は押さえられますが、凍結によって組織や細胞の損傷が起こり、解凍時にドリップといわれる細胞内の可溶性成分(たんぱく質、エキス分、ビタミン類など)が溶出してしまいます。そのような食品の保存は、冷凍保存ではなく冷蔵保存が適しています。

● トマトやバナナなどの果実
低温(10℃-13℃)で保存すると変色や組織の崩壊を伴った障害が起きるため、比較的高温の保存が適していると考えられています。このように食品保存の処理は、それぞれの食品に応じた適切な方法がとられています。


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