Subject  : 毛の一生

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 毛の一生
 毛は、外に出ている毛幹部と、皮膚の中に隠れている毛根部に分けられます。毛幹の外側は、鱗状に重なった薄い丈夫な膜(毛小皮:キューティクル)でおおわれ、有害物の侵入を阻止しています。
 毛根を包んでいるのが毛包(毛嚢)で、その内部では、血管から栄養補給をうけて毛母細胞が活発に分裂をくり返して毛の成育を行っています。 毛包は、表皮のすぐ下の真皮層の中にあります。

 ● 毛幹部
。新しい毛は、毛包の基底部にある毛球という場所で作られます。毛球の中の生きた細胞が増殖して上に押し上げられてきます。これらの細胞はすぐに乾燥して死に、ぎっしりと集まって密度の高い硬いかたまりとなり、これが毛幹を形成します。
 毛母細胞は分裂して細胞の数を増やし、古い細胞は次つぎと上へ押し上げられ、角質(細胞が死んでできた硬いたんぱく質)となって毛幹が形づくられていきます。つまり、毛幹は、生活力を失った組織で、薄い板のようなうろこ状の傷つきやすい外皮(キューティクル)で覆われています。

 ● 毛の成分
 毛は、爪と同じく、皮膚組織の変形したもので、主成分はケラチンと呼ばれるたんぱく質です。ケラチンとは、角質化した硬いたんぱく質のことを呼びます。毛のたんぱく質は約20種類のアミノ酸が結合してできています。アミノ酸のうち一部のものは体内でもつくられますが、何種類かのものは、外から食事として補給してやることが必要なのです。ですから、たんぱく質が極度に不足した食事をつづけていると、毛の成育にも影響します。必要なアミノ酸(たとえばシスチン)が不足すると、毛の強度が低下してきます。
ですから、拒食症や、肥満症に用いる断食・節食療法などで、極端な定エネルギー食品(低たんぱく質)となった場合には、毛は細くなり、ついには脱毛にいたります。  また、美容のためのダイエットの影響で、毛はつやを失い、弾力性もなくなって、脱毛につながることもあります。からだの栄養状態は毛にも影響するからです。
毛髪の色は、皮膚の色と同様にメラニン色素によるものです。人間の毛髪の色は2種類のメラニンによって決まります。1つは黒い髪や茶色い髪にあるユーメラニンで、もう1つは赤褐色の髪や金髪にあるフェオメラニンです。

 ● 毛の成長と休止、そして新生
毛は、ある期間(2年から時には7年以上も)成長をつづけたあと、その成長を止め、一定期間(ほぼ3か月)たって抜け落ちていきます。これを「毛周期」と呼びます。
 抜け落ちると、同じ毛包から新しい毛の芽が生まれ、再び成長していきます。人間の毛包の数は誕生時に決定されていて、出生後にその数を増すことはありません。日本人の頭毛は、約10万本といわれています。

 ● 毛の成長期間・速度
 毛が成長をつづける期間は、個人差もありますが、性別、年齢、体調、栄養状態などさまざまな要因が関係してきます。成長速度は、1日0.35〜0.44mmとされています。
毛の成長はテストステロンやジヒドロテストステロンなどの男性ホルモンによって調節されています。これらの男性ホルモンは、その量は違いますが男女ともにもっています。テストステロンは陰毛とわき毛の成長を促します。ジヒドロテストステロンはひげの成長を促します。
 このように頭髪には、成長を止めて、生えかわる時期を待っている毛が、常に存在しているのです。毎日、抜け毛があるのは、むしろ正常な証拠といえましょう。寿命(毛周期)にしたがって抜け落ちる自然な抜け毛は、一般には1日60−80本程度なら正常範囲と考えられています。  それよりも極端に多い抜け毛がつづいた場合が、脱毛症ということになります。
 ⇒ 脱毛について

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