Subject  : 発癌のリスク

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 発癌のリスク
数多くの環境的要因が発癌のリスクを増大させます。

 ◆ 産業廃棄物やタバコの煙による空気の汚染
産業廃棄物やタバコの煙による空気の汚染は、癌のリスクを増大させるおそれがあります。多くの化学物質に発癌性があることが証明され、他の化学物質にも疑わしいものが多数あります。たとえばアスベスト(石綿)にさらされた人は肺癌や中皮腫(胸膜の癌)になりやすく、とりわけ喫煙者ではその傾向が強まります。化学物質にさらされてから癌になるまでには、かなり長い年月がかかることもあります。 喫煙は発癌物質を生じさせ、肺癌や口腔癌、喉頭癌、腎臓癌、膀胱癌の発症リスクを高めます。

 ◆ 放射線
放射線も発癌の危険因子です。人体への紫外線照射は主に日光によるものですが、浴びすぎると皮膚癌の原因となります。電離放射線は特に発癌性の高い放射線です。地表から発する放射性のラドンガスも、肺癌のリスクを増大させます。ラドンは通常はすみやかに大気中へと拡散し、有害物質として作用することはありません。しかし、多量のラドンを含む土の上に建物があると、屋内にラドンが蓄積され、ときには生体に有害なほどの高濃度になる場合があります。ラドンが呼吸とともに肺に入ると、肺癌になるおそれがあります。喫煙者では、ラドンによる肺癌のリスクはさらに高くなります。

 ◆ 食事
食品中に含まれる物質が癌のリスクを増すことがあります。たとえば脂肪の多い食事は大腸癌、乳癌、前立腺癌のリスクを高めます。多量の飲酒は食道癌の発症率を高くします。燻製食品、漬物、焼き肉などが多い食事では胃癌の発症率が高くなります。

 ◆ ウイルス感染
ヒトの癌の原因として数種のウイルスが知られています。また、これ以外にも発癌との関与が疑われているウイルスがいくつかあります。パピローマウイルス(性器いぼの原因ウイルス)は子宮頸癌の原因の1つです。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスは肝臓癌の原因となります。ヒトのレトロウイルスにはリンパ腫や血液系の癌の原因となるものがあります。
エプスタイン‐バー(EB)ウイルスは、アフリカでは癌の一種であるバーキットリンパ腫の原因となり、中国では鼻や咽頭の癌を発生させています。

 ◆ 炎症性疾患
炎症性の疾患によっても、癌のリスクは高くなります。たとえば潰瘍性大腸炎の患者は、やがて大腸癌になる場合があります。寄生虫への感染が炎症を引き起こし、それが癌になる場合もあります。たとえばビルハルツ住血吸虫に感染すると、膀胱への慢性的な刺激から膀胱癌になることがあります。 癌は初めのうちは小さな細胞のかたまりで、特に症状はありません。大腸の内側のような広い空間がある部位に癌ができると、かなり大きくなるまで自覚症状がまったくないこともあります。一方、もっとスペースの限られた部位、たとえば声帯などでは、癌が比較的小さいうちから声のかすなどの症状が出てくることがあります。

 ⇒ 食物中の発ガン物質

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