Subject : 気体に対する比感度
カテゴリー : 学術情報
気体に対する比感度
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電離真空計は、気体分子を電離させ、生成したイオンの数から圧力を求める真空計です。高真空から超高真空領域で広く用いられており、定量性に優れているのが特徴です。
気体を電離させるための電子を、加熱したフィラメントから得ており、正確には熱陰極型電離真空計とも呼ばれます。
市販の電離真空計には、三極管型、B−Aゲージ、シュルツ型の3つの型があります。
名称 |
記号 |
三極管 |
B-Aゲージ |
シュルツ |
グリッド電圧 |
- |
+125V |
+150V |
+60V |
コレクタ電圧 |
- |
-25V |
-45V |
-60V |
水素 |
H2 |
0.43 |
0.44 |
0.53 |
ヘリウム |
He |
0.14 |
0.20 |
0.15 |
メタン |
CH4 |
- |
1.5 |
- |
水 |
H2O |
- |
1.0 |
- |
窒素 |
N2 |
1.00 |
1.00 |
1.00 |
一酸化炭素 |
CO |
- |
1.04 |
- |
アルゴン |
Ar |
1.31 |
1.21 |
- |
二酸化炭素 |
C2 |
- |
1.37 |
- |
銀 |
Ag |
- |
3.15 |
- |
プロパン |
|
- |
4.6 |
- |
電離真空計の構造と原理
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三極真空管と似ているところがあります。
測定子は、熱電子を放出するフィラメント、電子を加速し、捕集する陽極グリット
(集電子電極)、イオンを捕集するコレクタから構成されています。
フィラメント(F)に通電すると、熱電子が放出されます。
電子は正電圧が印加されたグリッド(G)に向かって加速されますが、
グリッドは細い金属線や網目状になっていて面積が小さいため、大部分は
捕集されずに通り抜けてしまいます。しかし、対向する位置にあるコレクタ
(C)には、負電圧が印加されているため、電子はコレクタには到達できず、
手前でUターンすることになります。このように、電子はフィラメントと
コレクタとの間を往復運動し、ついにはグリッドに捕らわれます。
フィラメントとコレクタに挟まれた空間に気体分子が存在すると、
往復運動している電子が衝突し、イオンと電子に電離することがあります。
F−G間で生成されたイオンはフィラメントに、G−C間で生成された
イオンはコレクタに捕集されます。
コレクタへの捕集効率をa、電子が気体分子を電離する確率をσ(注2)、気体分子の密度を n、フィラメントから放出される熱電子の電流をIe、電子がグリッドに捕集されるまでに空間を飛行する平均距離を L とすると、コレクタに流れる電流(イオン電流) Ii は、
Ii = Ie・nσLa (1)
と表されます。L 、a および σ は定数ですから、Ie が一定となるように制御すれば、Ii は n に比例します。理想気体を考えるとp = nkT (k:ボルツマン定数、T:気体の絶対温度)ですから、結局 Ii は圧力 p に比例し、イオン電流から圧力を知ることができます。具体的には式(1)より、
Ii = SIe・p (2)
となります。電子電流 Ie は制御できますので、比例定数 S には含まれません。 S は電離真空計係数または感度と呼ばれ、圧力の逆数の次元を持ちます。S = σLa/kT となることは明らかですが、a や σ 等の値を理論的に求めることは容易では無いため、通常は実験によってS を決定します。一般的な電離真空計の場合、S は 0.1〜0.3 1/Pa 程度です。例えば、S = 0.2 1/Pa、Ie = 5mA の場合、p = 0.1mPa に対して Ii = 0.1μA になります。
- ● エクストラクタ付電離真空計
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