Subject   : 副甲状腺(上皮小体)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学 


 副甲状腺(上皮小体)
副甲状腺はまたの名を上皮小体ともいい、ホルモン(副甲状腺ホルモン)を分泌しています。名前は甲状腺に似ていて同じくホルモンを分泌していますがこのホルモンは主に骨や腎臓に働きかけ血中のカルシウムの濃度を上昇させる作用があります。副甲状腺は基本的に4つあり、甲状腺(首の前、のどぼとけの骨よりやや下の方にある臓器)の背面に上下左右それぞれ存在しています。
それぞれ大きさは数 mm程度で人間の臓器で最小といわれています。しかし副甲状腺は実は4腺とは限りません。5腺以上ある人は約15%いると言われています(過剰腺)。また副甲状腺はきちんと甲状腺の背側にあるとも限りません。心臓の近くや、首のかなり上の方に存在することすらあります(異所性副甲状腺)。
副甲状腺は機能が進みすぎたり(副甲状腺機能亢進症)、機能が低下したり(副甲状腺機能低下症)してカルシウムの代謝が正常に行えない場合があります。

● 副甲状腺機能亢進症
副甲状腺が大きくなると副甲状腺のホルモンを必要以上の多く出すようになります。その結果、カルシウムの血中濃度が正常値より高くなり、筋肉低下、イライラ感、不眠、掻痒感、倦怠感、食欲不振、嘔吐、便秘、体重減少、消化性潰瘍、などの症状がみられることがあります。また血中のカルシウムが高くなると尿中のカルシウム濃度も上昇するので尿路結石ができることがあります。このため激しい腰痛、血尿、尿路感染、高血圧、尿毒症ひいては腎不全にまで進展することがあります。両側腎結石の約5%が副甲状腺機能亢進症によるといわれています。さらにこれらのカルシウムは骨から血中へ移行させているので骨が弱くなり骨痛、病的骨折などがおこることがあります。

● 原発性副甲状腺機能亢進症
原発性副甲状腺機能亢進症は副甲状腺そのものに原因があり、副甲状腺が腫大しホルモンを出しすぎることをいいます。カルシウムが不足したとかなど日常生活に原因はありません。原発性副甲状腺機能亢進症は複数ある副甲状腺の1つだけが大きくなる腺腫(良性)、それに対して全腺が大きくなる過形成(良性)、癌(悪性)の3種類に分類されています。このうち癌であることは極めて稀です。原発性の過形成は多発性内分泌腫瘍症という遺伝性疾患が原因であることがあります。

● 二次性副甲状腺機能亢進症
体の外からの原因で副甲状腺が大きくなっており、大部分は、腎臓機能が廃絶した腎不全状態に長期なっておられる方におこる病気です。この場合基本的に副甲状腺は全腺が大きくなります。
 ⇒ 内分泌系
 ⇒ 副甲状腺ホルモン(PTH)

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