Subject   : 副甲状腺ホルモン(PTH)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 副甲状腺ホルモン(PTH)
副甲状腺ホルモンは血中カルシウム濃度を上げるホルモンです。

カルシトニンと逆の性質を持つ。動態は、副甲状腺から分泌される。作用は、血中カルシウム濃度を上げるために、破骨細胞を活性化して骨吸収を促進し、血中からカルシウムを奪うリンを腎臓で排泄し、血中でカルシウムを抱えているアルブミンがカルシウムを手放すように腎臓で重炭酸イオンを排泄してアシドーシスにし、血中カルシウム濃度を上昇させる働きのあるビタミンDを腎臓で合成し、腎臓からのカルシウムの排泄を抑制する。調節は、副甲状腺の主細胞で血中カルシウム濃度を感知して、血中カルシウム濃度が上昇すると分泌が低下し、血中カルシウム濃度が低下すると分泌が上昇する。

副甲状腺ホルモンは、 パラトルモン(parathormone)ともいい、副甲状腺から分泌されるアミノ酸配列84のポリペプチドホルモンである。パラトルモンは、血液のカルシウムの濃度を増加させるように働き、逆に甲状腺から分泌されるカルシトニンはカルシウムを減少させるように働く。パラトルモンは、血中のカルシウム濃度を増加させるが、そのためのパラトルモン受容体は身体に骨、腸、腎臓の3箇所ある

受容体 メモ
カルシウムの放出を増大させる骨は大きなカルシウムの貯蔵器官である[2]。 骨の再吸収は、通常は破骨細胞による骨の破壊で、それらは間接的にパラトルモンの刺激による。 破骨細胞にはパラトルモン受容体がないので、その刺激は間接的である。むしろ、パラトルモンは、骨を作る骨芽細胞と結合する。結合は、破骨細胞分化因子(RANKL)を出現させ、骨芽細胞の増大を刺激し、破骨細胞の前駆体は破骨細胞分化因子受容体(RANK)を取り囲む。破骨細胞分化因子と破骨細胞分化因子との結合体は、それらの先駆体と融合し、新しい溶骨細胞を形成する。その結果骨の再吸収が促進する。
腎臓 遠位尿細管とヘンレ係蹄上行脚でカルシウムの再吸収を活発・増大させる
ビタミンDの生成を促進、25-ヒドロキシビタミンDに1-αヒドロキシル化反応を起こさせる酵素を活性化させ、カルシウム吸収に実際に作用する1,25-ジヒドロキシビタミンD(活性ビタミンD)に変換しカルビンジンを通してカルシウムイオンを吸収させ、結果的に腸のカルシウムの吸収を促進させる。

パラトルモンは腎臓の尿細管でリン酸塩の吸収を抑制させる。これはより多くのリン酸塩が尿から排出されることを意味する。また、パラトルモンは腸と骨のリン酸塩の血中からの吸収を促進させる。破骨細胞による骨の破壊でリン酸塩もカルシウムと一緒に放出されるが、腸からのリン酸塩の吸収はカルシウムのそれとは違い、ビタミンDに依存しない(活性ビタミンDの増加で、調停する)。
血液中のカルシウム濃度が増加すると、副甲状腺の細胞上にカルシウム受容体が反応し、パラトルモンの分泌が抑制される。

 ⇒ ホルモンがつくられる部位と機能

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