Subject : セラミドの種類と代謝
カテゴリー : 学術情報 > 生化学
セラミドの種類
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セラミドは皮膚表皮の角質細胞間脂質のことで、セラミド1〜6Uまでの7種類があります
種類 |
メモ |
1 |
外部刺激に対する最も優れたバリア能がある |
2 |
皮膚の水分保持機能に寄与する。毛髪に多い |
3 |
水分保持機能に寄与する |
4 |
角質の脂質バリア層の構築、維持に関与 |
5 |
角質の脂質バリア層の構築、維持に関与 |
6T |
角質の脂質バリア層の構築、維持に関与 |
6U |
角質の脂質バリア層の構築、維持に関与 |
大まかに言えば、バリア機能を司るのがセラミド1、保湿に役立つのがセラミド2〜6ということになります。
アトピーの人では皮膚の細胞間脂質に多く存在する セラミド1(アシルセラミド)の量が正常人の約1/10と少ないので、皮膚のバリア機能が低下し、またセラミド2〜6の量も正常人の1/2〜1/3であるため、水分を保持する能力が低下しています。
セラミドは小腸から未変化体のまま吸収され、毛細血管を介して角質層や角質細胞間に入り作用を示す。
セラミド代謝
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セラミドの合成にはセリン(アミノ酸)とパルミトイルCoAが必要です。セリンは3-ホスホグリセリン酸(解糖系図でいうとグリセルアルデヒド 3-リン酸とホスホエノールピルビン酸の間の中間体)
から合成され、パルミトイルCoAは飽和脂肪酸(動物性油脂に多く含まれる)のパルミチン酸から合成されます。飽和脂肪酸は2重結合を持たない脂肪酸で、食事からとらなくても体内で合成できます。
次にセラミドの合成過程ですが、まず表皮の有棘層や顆粒層にて、セリンとパルミトイルCoAから3-ケトスフィンガニン→スフィンガニン→ジヒドロセラミドを経てセラミドが合成されます。
ここで合成されたセラミドは一旦グルコシルセラミドまたはスフィンゴミエリンの形で表皮細胞膜リン脂質などとして蓄えられたあと、細胞外へと排出されて、βグルコセレブロシダーゼ(βグルコシダーゼ)とスフィンゴミエリナーゼの作用を受けて、再びセラミドとなり、細胞間脂質としての機能を成す。アトピーで重要なセラミド1はグリコシルセラミド経路で合成されます。
セラミドは分解はセラミダーゼにより行われ、分解産物としてスフィンゴシンと脂肪酸を生じます。
アトピーの人はグルコシルセラミドやスフィンゴミエリンをセラミドとは異なる物質(グルコシルスフィンゴシン、スフィンゴシルホスホリルコリン)に変えてしまう酵素(グルコシルセラミドデアシラーゼ、スフィンゴミエリンデアシラーゼ)の活性が高いため、セラミド合成経路との間で競合がおきてセラミド合成能が低下します。
これらの異なる物質は水分保持能力に欠け、そのうちスフィンゴシルホスホリルコリンは炎症誘発因子であるという。加えて、アトピーの人のβグルコセレブロシダーゼ活性は正常な人と変わらない。
⇒
セラミド
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