ファミリー |
メモ |
Family A |
DNA複製やDNA修復に関わる酵素が含まれる。複製系の酵素としては、非常によく研究されたT7 DNAポリメラーゼや、ミトコンドリアのDNAポリメラーゼ γ がある。修復系の酵素としては、大腸菌のDNAポリメラーゼIや、Thermus aquaticusやBacillus stearothermophilusのpol Iなどがあり、 除去修復や岡崎フラグメントの処理に関わっている。 |
Family B |
ほとんどが複製系の酵素で、真核生物のDNAポリメラーゼα, δ, εや、DNAポリメラーゼζなどを含む。それ以外にT4・Phi29・RB69などのファージのDNAポリメラーゼも含む。これらはリーディング鎖とラギング鎖の両方の合成に関わる。このファミリーの酵素は強い3'-5'エキソヌクレアーゼ活性があり、複製が正確なことが特徴であるが、αとζに関しては例外で校正活性を持たない。 |
Family C |
基本的には細菌の染色体複製に関わる酵素である。大腸菌のDNAポリメラーゼIIIのαサブユニットはヌクレアーゼ活性がなく、別のαサブユニットが3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を提供している。 |
Family D |
まだよく研究されていないが、全てが古細菌のユーリアーキオータから見出されており、複製系の酵素だと考えられる。 |
Family X |
真核生物のpol β、pol σ、pol λ、pol μなど、また末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)を含む。pol βは塩基が欠落した箇所を修復するのに必要である。pol λとpol μはDNA二重鎖切断を修復する非相同末端結合に関わる。TdTはリンパ組織におけるVDJ組換の際に数塩基を追加して免疫学的多様性を増大させるのに関わっている。出芽酵母の唯一のfamily XポリメラーゼであるPol4もまた、非相同末端結合に関わっている。 |
Family Y |
無損傷のDNAに対する忠実度が低く、逆に損傷を受けたDNAでも複製できる点にある。損傷乗り越え複製(translesion sythesis; TLS)によってエラー無しに、もしくはエラーを無視して無視して複製できるようになるが、後者の場合変異率は上昇する。色素性乾皮症のバリアント型(XPV)の患者は、UV損傷をエラー無しに修復できるPol ηに変異があり、変わりにエラーを無視するPolζ(これはfamily Bのポリメラーゼである)が働くため、発ガンしやすい傾向がある。ヒトには他にPol ι・Pol κ・Rev1というメンバーが知られている。大腸菌ではPol IV (DinB)とPol V (UmuDC)が知られている。
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Family RT |
これはRNA 依存性 DNA ポリメラーゼ(逆転写酵素)であり、レトロウイルスや、真核生物のテロメラーゼが該当する |