Subject : 植物の光受容体
カテゴリー : 学術情報 > 化学
植物の光受容体
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植物には、光を感知する光受容体が存在する。
光受容体には、赤色光(赤い光:R)を感知するフィトクロム、青色光(青い光)を感知するフォトトロピン、クリプトクロムが存在する。
- ● フィトクロム
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フィトクロムは、赤色光(赤い光:R)を感知して、発芽を促進する。赤色光を当てた後、遠赤色光(FR:far red)を当てると、発芽を抑制する(フィトクロムは、赤色光を感知して、発芽を促進させ、遠赤色光を感知して、発芽を抑制する)。
フィトクロムが、赤色光を感知すると、茎の伸びを押させ、葉を広げさせる。フィトクロムが、遠赤色光を感知すると、茎を伸張させる。
フィトクロムAは、弱い光を波長に関係なく感知している。フィトクロムBは、光の波長を見分けている。フィトクロムBが、赤色光を感知し、発芽や、茎の伸張に関与している。フィトクロムBは、赤色光を感知すると、核内に移行し、信号を伝達する。光受容体(光受容蛋白質)のフィトクロムBは、赤色光により活性型に変化し(発芽を促進する)、遠赤色光により不活性型に変化する(発芽を抑制する)。
赤色光(R)>遠赤色光(FR)だと、植物の伸長が抑制され、発芽(花芽分化)が促進される(メガクール)。
赤色光(R)<遠赤色光(FR)だと、植物の伸長が促進され、発芽が抑制される(青ポオパオ)。
- ● フォトトロピン
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フォトトロピンは、青色光(青い光)を感知する。葉緑体は、細胞内で、活発に動いているが、強い光を感知すると、細胞内で、周辺(細胞膜近く)に逃げて行き、光が弱くなると、細胞の中心に戻って来る(光定位運動)。
フォトトロピン2が、青色光を感知すると、光定位運動が起こる。
- ● フィトクロム3
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シダは、フィトクロム3を有していて、フィトクロムのように赤色光(赤い光:R)と、フォトトロピンのように青色光(青い光:B)の両方を感知する。
赤色光(R)<青色光(B)だと、葉菜類の伸長が促進する(青の太陽:夏)。
赤色光(R)>青色光(B)だと、長日花卉類の開花が促進する(赤の太陽:冬)。
太陽光は、夏には、波長の短い青色の光の割合が増加し(青の太陽)、反対に、冬には、波長の長い赤色の光の割合が増加する(赤の太陽)。従って、植物は、夏場には、青の太陽により伸長し(茎が伸びる)、冬場からは、赤の太陽により花芽を付ける。
赤色発光ダイオードの赤色光(R)を葉緑素(クロロフィル)に照射すると、光合成が促進され、食部酢の茎や葉が伸長する(赤色光は、植物を伸長させる)。
青色発光ダイオードの青色光(B)を葉緑素(クロロフィル)に照射すると、植物の茎が太くなったり、葉が厚くなったりする(青色光は、植物の葉や茎を太くする)。
昆虫は、300nm程度の波長の光(遠紫外線)を好むので、誘虫灯は、この波長の光で虫を引き寄せる。
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