Subject   : 上皮組織

カテゴリー  : 学術情報 > 組織学


 上皮組織
上皮組織とは 体表面、管腔(消化管、呼吸器、泌尿器、生殖器など)、体腔(心膜腔、胸膜腔、腹膜腔)などの表面を覆う、1ないし十数層の細胞の層でできた組織。 細胞相互が密接して配列し、細胞間質がごくわずかしか介在しない。

上皮の下(表面の反対側)には、多くの場合、結合組織 (connective tissue) が存在し、上皮組織と結合組織の境には「基底膜」が存在する。
基底膜 (basement membrane または basal lamina):
結合組織が上皮組織に接するところにある、ムコ多糖に富み(多糖を染め出すPAS染色で陽性)、ラミニンとIV型コラーゲンを多く含む50-100nmの層。上皮細胞の細胞膜から30-40 nm離れて存在。基底膜の構成成分は、上皮細胞が作る。

狭義の上皮(epithelium):
体表面の上皮(すなわち皮膚の表皮など)は、外胚葉(表層外胚葉)から発生し、消化管・気管・肺胞上皮やそれらの付属腺の腺上皮は内胚葉から発生する。
体表面、管腔(消化管、呼吸器、泌尿器、生殖器など)、体腔(心膜腔、胸膜腔、腹膜腔)などの表面を覆う、1〜十数層の細胞の層。細胞相互が密接して配列し、光学顕微鏡レベルでは細胞間質が介在しない。
内皮 (endothelium):
上皮のうち、心臓、血管、リンパ管、関節腔、滑液嚢、くも膜下腔、内耳の外リンパ腔、前眼房など(これらの中腔には血液やリンパなどの液体が入っている)の内面を覆う単層扁平上皮を、特に内皮と言い、中胚葉とくに間葉から発生する。
中皮 (mesothelium):
上皮のうち、体腔(心膜腔、胸膜腔、腹膜腔)の内面を覆う単層扁平上皮(腹膜、胸膜、心膜の裏打ちと同じ結合組織由来)を、特に 中皮(=漿膜上皮)と言い、中胚葉から発生する。

上皮組織はその存在部位によっても命名できる。 例えば、気管上皮、肺胞上皮、消化管上皮、胆管上皮、尿細管上皮、角膜上皮、など

■ 上皮組織の機能的分類
分類 メモ
被蓋上皮
Covering epithelium
身体の外表面や、中空器官(管腔)の内面を覆い、これらを保護する
腺上皮
Glandular epithelium
元来、被蓋上皮の細胞が上皮の配列から陥没して分泌能力を持つ細胞群を形成したもの。
吸収上皮
Respiratory epithelium
被蓋上皮のうち、吸収機能を持つもの。小腸の粘膜上皮など
呼吸上皮
Sensory epithelium
ガス交換にあずかる。肺胞の上皮。
感覚上皮
Sensory epithelium
上皮が感覚受容器に分化し、刺激を受容して興奮し、その興奮を神経系に伝えるようになったもの。網膜の感覚上皮など


■ 上皮組織の表層側
表層側(apical surface)の細胞膜は平らでないことが多い。
微絨毛 Microvilli: Actin filamentsの束を含む毛状の「出っ張り」、光顕的には「刷子縁」または「小皮縁」としてとらえられる。
線毛 Cilia: 微細管Microtubulesを含み、自動能を持っている。2本組みのmicrotubules 9組が2本のmicrotubulesを円筒形状に取り囲んでいる。

■ 上皮組織の基底側
基底膜 (basement membrane または basal lamina): 結合組織が上皮組織に接する(上皮細胞の細胞膜から30-40 nm離れた)ところにある。ムコ多糖に富み(PAS染色陽性)、ラミニンとIV型コラーゲンを多く含む50-100nmの層、構成成分は上皮細胞がつくる。
基底膜陥入Basal plasma-membrane infoldings:基底側の細胞膜が櫛歯状になっている。この形質膜にはATP依存性のポンプ・タンパク質が多数組み込まれ、イオンの輸送を担っている。細胞質部分にはミトコンドリアが豊富である。

 ⇒ 人のからだの組織
 ⇒ 上皮組織の形態学的分類

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]