Subject   : スチルベノイド(stilbenoid)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 スチルベノイド
 スチルベノイドはフラボノイドと同様にp-ヒドロキシケイヒ酸CoA (p-coumaroyl CoA)に3単位のマロニルCoA(malonyl CoA)が結合したcoumaroyl triketideが閉環して生合成されます。 閉環様式が異なるため、フラボノイドではCoAの結合した末端カルボニルは閉環に加わるが、スチルベノイドでは加わらない。
更に、スチルベノイドの生合成では末端カルボニルはカルボン酸として残る場合と、脱炭酸して失われる場合がある。前者の例としてはユキノシタ科アマチャの甘味成分であるフィロズルチン (phyllodulcin)があり、この場合は閉環してイソクマリン(isocoumarin)環を形成している。いわゆるスチルベンは後者であり、タデ科ショクヨウダイオウなど非薬用ダイオウに含まれるラポンチシン(rhaponticin)が例として挙げられる。

また、ユリ科バイケイソウ属に含まれ、またブドウ科ブドウVitis viniferaの果実のファイトアレキシンとして見いだされたレスベラトロール(右構造式;resveratrol)はもっとも構造の簡単なスチルベンながら強い抗酸化作用があり発癌予防効果があるという報告があり注目を集めつつある。
従って、マメ科ナンキンマメArachis hypogeaなどレスベラトロールに富む食材や生薬を発癌予防のサプリメントとして応用する研究が活発に行われている。中国ではタデ科イタドリPolygonum cuspidatumの栽培によりレスベラトールの大量供給が計画されていることは本物質に対する市場の関心の高さがうかがえる。最近、レスベラトロールの酸化カップリングにより生成したオリゴスチルベンやポリスチルベン誘導体の植物からの単離報告が多く、タンニンに次ぐポリフェノールとして今後の研究の展開が注目される。
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