Subject   : 睡眠導入剤(睡眠薬)

カテゴリー  : 学術情報 > 薬学


 睡眠導入剤(睡眠薬)
 不眠状態や睡眠が必要な状態に用いられる薬物の総称。睡眠時の緊張や不安を取り除き、寝付きを良くする作用をするものが多い。一般には「睡眠薬」と呼ばれることが多い。 睡眠導入剤は化学構造によりベンゾジアゼピン系、チエノジアゼピン系、バルビツール酸系、シクロピロロン系や抗ヒスタミン薬などに分類される。また、作用時間による分類としては、超短時間作用型、短時間作用型、中時間作用型、長時間作用型などがある。 ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は抗不安薬として使われるケースも多く、逆に抗不安薬(マイナートランキライザー)や抗精神病薬(メジャートランキライザー)を睡眠導入剤として利用するケースもある。 以前はバルビツール酸系の薬剤がよく用いられていたが依存傾向が強く、耐性が(2・3日から1カ月ぐらいの間に)生じやすい問題があるため現在では比較的安全なベンゾジアゼピン系の薬剤が多く用いられる傾向にある。副作用としては依存形成のほかには一過性の健忘、覚醒後の眠気、悪夢などがみられることがある。

薬物の種類 分類 メモ
超短時間作用型
トリアゾラム ベンゾジアゼピン系 ハルシオンなど
ゾピクロン シクロピロロン系 アモバンなど
酒石酸ゾルピデム イミダゾピリジン系 マイスリー
短時間作用型
エチゾラム チエノジアゼピン系 デパス、エチカームなど
ブロチゾラム チエノジアゼピン系 レンドルミンなど
ロルメタゼパム ベンゾジアゼピン系 エバミール、ロラメット
ブロムワレリル尿素 有機臭素化合物 ブロバリン
短-中時間作用型
ペントバルビタール バルビツール酸系 ラボナ、ネンブタールなど
塩酸リルマザホン その他 リスミーなど
中時間作用型
フルニトラゼパム ベンゾジアゼピン系 サイレース、ロヒプノールなど
ニトラゼパム ベンゾジアゼピン系 ベンザリン、ネルボンなど
ニメタゼパム ベンゾジアゼピン系 エリミン
エスタゾラム ベンゾジアゼピン系 ユーロジンなど
クアゼパム ベンゾジアゼピン系 ドラール
アモバルビタール バルビツール酸系 イソミタール、アミバール
抱水クロラール 抱水クロラール系 エスクレ
長時間作用型
フフルラゼパム ベンゾジアゼピン系 ダルメート、ベノジールなど
フェノバルビタール バルビツール酸系 フェノバール
ハロキサゾラム ベンゾジアゼピン系 ソメリン
その他
ベゲタミンA/B 塩酸クロルプロマジン、塩酸プロメタジン、フェノバルビタール混合薬
ラメルテオン メラトニン受容体作動薬

一般用医薬品としてジフェンヒドラミンを主成分とした睡眠薬が市販されている が、抗ヒスタミン剤です。 熟眠剤は睡眠深度の深いものをさし、持続時間は5〜6時間に及ぶ。 持続性熟眠剤は精神神経科で持続睡眠療法に用いる長時間作用型のもので、 持続時間は6時間以上に及ぶ。スルホナール、フェノバルビタール(「ルミナール」「フェノバール」「リナーセン」)などがこれに属するが、スルホナールは現在使用されておらず、フェノバルビタールは主として抗てんかん剤、鎮静剤として繁用されている。 バルビツール酸系は習慣性が大であり、現在、睡眠薬として内服で使用されているのは、ペントバルビタールカルシウム(「ラボナ」)とアモバルビタール(「イソミタール」)などで、きわめて少なくなった。クロラール系の抱水クロラールは坐薬(ざやく)として、トリクロホスナトリウムはシロップ剤として小児用によく用いられる。
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