Subject   : 造血幹細胞(HSC)

カテゴリー  : 学びの館 > 生化学 


 造血幹細胞(hematopoietic stem cell)
免疫を担うすべての細胞は、元をたどるとたった一種類の細胞から分かれて 生まれてきたものです。 免疫細胞だけでなく、赤血球や血小板などは、骨の中にある脂肪に富んだ軟らかい組織である、骨髄でつくられます。白血球のうち、Tリンパ球とBリンパ球は、リンパ節や脾臓(ひぞう)でもつくられ、Tリンパ球は胸腺内でつくられて成熟します。 すべての血球は、骨髄の中にある幹細胞というまだ役割の定まっていない未分化の細胞からつくられます。 胎児期には肝臓にあって、生後は 骨髄にあるその細胞を「造血幹細胞」と 呼びます。 全身の骨の芯にあたる部分(骨髄)は空洞になっていて、多くの細胞で 満たされています。 造血幹細胞は、骨髄の細胞中およそ 10万個に1個の割合で存在し、 普段は何もせずに眠っている細胞ですが、数週間に一度、思い出したように 分裂して、自分と同じ細胞をつくりだしています。 それ自身では何の働きも持たず、変幻自在にさまざまな細胞へ変化(分化) できる原始的細胞なのです。 ときおりゆっくりと、自己複製を繰り返している造血幹細胞に適当な条件と刺激が与えられると、やがて赤血球になる細胞というようにそれぞれの方向へ分化が始まります。幹細胞は分裂すると、まず未成熟の赤血球、白血球、または血小板産生細胞になります。この未成熟細胞は分裂してさらに成長し、最終的に成熟した赤血球、白血球、または血小板になります。 造血幹細胞から分化して最終的に生まれる細胞は大きく分けて以下の表のようになります。
種類 メモ
赤血球 寿命は約120日
巨核球 血小板の寿命は約10日
顆粒球 好中球・好酸球・好塩基球
単球 マクロファージ・樹状細胞
リンパ球 T細胞・B細胞・ナチュラルキラー(NK)細胞
このうち、顆粒球、単球、リンパ球が免疫系の細胞で、赤血球のような赤い色素(ヘモグロビン)を持っていないので、まとめて「白血球」と呼ばれます。また、リンパ球は、血管よりもリンパ管の中に多く存在することからそう呼ばれます。
T細胞にはヘルパーT 細胞・キラーT 細胞 ・サプレッサーT 細胞という働きの異なる三種類があります。
 造血幹細胞が分化していく各段階では、様々な サイトカインが働いて変化を促しますが、対象となる細胞の置かれている環境や状況などが、 その働き方を大きく左右します。

赤血球、好中球、血小板は骨髄で完成すると血液中に放出され、その後赤血球は約120日、好中球は半日、血小板は約10日で壊れます。健康な人では造血幹細胞からこれら3種類の血球が絶えずつくり続けられて、毎日壊れた血球分を補っています。
血球の産生は、一定の条件下では通常より多くなります。たとえば、体内組織の酸素の量や赤血球の数が減少すると、腎臓からエリスロポエチンというホルモンが放出され、これが骨髄を刺激して赤血球の産生量が増えます。骨髄は、感染があればそれに反応して白血球を、出血があればそれに反応して血小板をつくって放出します。
年をとると、骨髄や血球にもある程度の影響が生じます。骨髄中の脂肪の量が増え、血球を産生する骨髄の量が減少します。この減少は通常は問題ありませんが、体が要求する血球の量が増えた場合には問題が生じます。高齢者の骨髄は、要求量の増加に対応する能力が低下しているからです。その結果として、貧血がよくみられます。
 ⇒ 免疫グロブリン

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]