Subject   : バイオセンサー

カテゴリー  : 学術情報 


 バイオセンサー
  バイオセンサーの概念は1967年にUpdikeとHicksがクラーク型の酸素電極の上にグルコースオキシダーゼの固定化膜を装着してグルコースに特異的に応答する電極を作成したことに始まっている。その後1980年頃までにはグルコースなど一部の酵素センサーは実用化し,抗体や微生物などの生物素子を分子識別部位にし,電極の他にサーミスターなどをトランスデューサーに取り入れた様々なセンサーが提案された。その後1980年代に入って,エレクトロニクスとの融合を指向したバイオセンサーが展開され,その概念も急速な広がりを見せた。

 ○ 電気化学バイオセンサー
 現在,最も盛んに研究されているのが,このタイプのセンサーである。基本となる電極の性質により電流を検出するアンペロメトリックセンサーと電位変化を検出するポテンショメトリックセンサーに大別される。

 ○ オプティカルバイオセンサー
 光電子増倍管やフォトダイオードのように光情報を検出するデバイスは,バイオセンサーのトランスデューサーとして他に比べて極めて高い感度を付与することが期待できる。電極に対してこれらをオプトロードと呼ぶことがある。光情報としては蛍光,化学発光,生物発光などが利用される。例えばペルオキシダーゼ反応とルミノール反応を結び付けて過酸化水素を高感度に定量したり,オキシダーゼ反応における酸素の変化を蛍光色素でクエンチングして蛍光変化からグルコース濃度やコレステロール濃度56)を測定するセンサーなどが報告されている。また,IgGを光ファイバーの先に固定し,蛍光ラベルした抗IgGとの競合反応により試料中の抗体を高感度に測定するなど,免疫反応への応用も盛んである。

 ○ 酵素サーミスター
 生体反応とりわけ酵素反応に伴うエンタルピー変化を熱量測定素子(サーミスター)を用いて測定すると酵素反応を熱量変化として捉えることができる。酵素固定化リアクターとサーミスターを連携して酵素の基質を対象とした高感度の測定が出来る例が数種の酵素について報告されている。他にも,酵素の精製過程を連続的にモニターして制御した例などが報告されている。

 ○ 圧電素子を用いたバイオセンサー
 発振している水品振動子に微量の分子の吸着が起こると,その時の重量変化により発信周波数が変わる現象(ピエゾ電気効果)を利用して微量の分子の吸着を測ることが出来る。この方法はQCM法(Quarz Crystal Microbalance)とよばれ,このような圧電素子上にアフィニティーを持っ生体素子を接着すると,生体分子の特異的な吸着による重量変化を電気信号として取り出すことが出来る。この方法は特に免疫反応などの検出に有利である。同じ圧電素子である表面弾性波素子(SAW素子)は高感度な吸着量検出能を持っている。このSAW素子の上に匂い分子と親和性のあるLB膜(ラングミュラーブロッジェット膜)を形成し,匂いを識別するセンサーが構築されている。これは食品分野での応用も期待できる。
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