Subject   : 蛍光プローブ

カテゴリー  : 学術情報 


 蛍光プローブ
 生きたままの細胞で分子をイメージングするには、特殊な蛍光プローブが必要です。蛍光プローブは、標的とした分子を特異的に認識し、蛍光によって細胞内外の分子を描出する役割を果たします。最も有名な蛍光プローブとしてはRoger Tsienらによって開発されたカルシウムプローブfura-2が挙げられます。fura-2は、カルシウムイオンに非常に高い特異性をもって結合し、蛍光強度変化を起こし、高時間・空間分解能をもって細胞内カルシウム動態をイメージングすることができます。カルシウムは重要な細胞内メッセンジャーであることには違いありませんが、細胞は他にもさまざまな分子で制御されています。その他の分子の細胞内動態も同様にその挙動を見ることはできないのでしょうか?これが、私たちが今の研究をスタートさせたきっかけのひとつです。

カルシウムプローブでカルシウムを認識するのには、カルシウムを結合する低分子化合物であるキレート剤がその基本骨格として用いられています。しかし、カルシウム以外の生体分子を認識する分子を同様の方法で設計するのはきわめて難しいものがありました。というより、現代の化学ではほとんど不可能とも言えます。そこで、生体に元々ある蛋白質が持つ認識能を拝借してこようというのが私たちの戦略でした。生体では、もともと生体内の物質同士が特異的に相互作用して機能を実現しているので、生体分子を用いることは合理的なのです。

 ● 

 ⇒ 

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]