Subject   : リアルタイムPCR法

カテゴリー  : 学術情報 


 リアルタイムPCR法 
 リアルタイムPCR法とは、PCRの増幅量をリアルタイムでモニターし解析する方法であり、電気泳動が不要で迅速性と定量性に優れています。この方法にはサーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化したリアルタイムPCR専用の装置が必要です。 リアルタイムPCRによる定量の原理を下図に示します。段階希釈した既知量のDNAをスタンダードとしてPCRを行います。これをもとに、増幅が指数関数的に起こる領域で一定の増幅産物量になるサイクル数(threshold cycle;Ct値)を横軸に、初発のDNA量を縦軸にプロットし、検量線を作成します。未知濃度のサンプルについても、同じ条件下で反応を行い、Ct値を求めます。この値と検量線から、サンプル中の目的のDNA量を測定します。通常、リアルタイムPCRのモニターは蛍光試薬を用いて行います。蛍光モニター法にはいくつかの方法があります

 ■ インターカレータ−法 
 二本鎖DNAに結合することで蛍光を発する試薬(インターカレーター:TB Green)をPCR反応系に加える方法です。インターカレーターは、PCR反応によって合成された二本鎖DNAに結合し、励起光の照射により蛍光を発します。この蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量をモニターできます。また、増幅DNAの融解温度を測定することもできます。

 ■ プローブ法(5'-ヌクレアーゼ法) 
 5′末端を蛍光物質(FAMなど)で、3′末端をクエンチャー物質(TAMRAなど)で修飾したオリゴヌクレオチド(プローブ)をPCR反応系に加える方法です。プローブは、アニーリングステップで鋳型DNAに特異的にハイブリダイズしますが、プローブ上にクエンチャーが存在するため、励起光を照射しても蛍光の発生は抑制されます。伸長反応ステップのときに、Taq DNAポリメラーゼのもつ5′→ 3′エキソヌクレアーゼ活性により、鋳型にハイブリダイズしたプローブが分解されると、蛍光色素がプローブから遊離し、クエンチャーによる抑制が解除されて蛍光が発せられます。

 ■ サイクリングプローブ法 
 サイクリングプローブ法は、RNAとDNAからなるキメラプローブとRNase Hの組み合わせによる高感度な検出方法で、増幅中や増幅後の遺伝子断片の特定配列を効率良く検出することができます。プローブはRNA部分を挟んで一方が蛍光物質(リポーター)で、もう一方が蛍光を消光する物質(クエンチャー)で標識されています。このプローブは、インタクトな状態ではクエンチングにより蛍光を発することはありませんが、配列が相補的な増幅産物とハイブリッドを形成した後にRNaseHによりRNA部分が切断されると、強い蛍光を発するようになります。この蛍光強度を測定することで、増幅産物の量をモニターすることができます。サイクリングプローブのRNA付近にミスマッチが存在すると、RNaseHによる切断は起こりませんので、一塩基の違いも認識できる非常に特異性の高い検出が可能です
 ⇒  リアルタイムPCRの原理(タカラバイオ)

[メニューへ戻る]  [カテゴリー一覧]  [HOMEへ戻る]  [用語索引]  [前のページに戻る]