Subject   : スパイクタンパク質 (spike protein)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 スパイクタンパク質 (spike protein)
 スパイクタンパク質 (spike protein) は、ウイルスカプシドまたはウイルス エンベロープ上の糖タンパク質スパイクである。これらの突起は、宿主細胞上の特定の受容体にのみ結合する。それらは、宿主の特異性とウイルス感染性の両面で不可欠である。

コロナウイルスの画像には表面にたくさんのトゲトゲがついているかと思いますが、これを生物学的にスパイクタンパク質と呼んでいます。スパイクという用語は尖った構造を示唆しているが、エンベロープ構造の場合はそうではなく、外側が丸く、平らまたはボタン形状をしている。そして、ペプロマーとスパイクの両方の用語は、形態学的に目に見える構造を表しているに過ぎず、発現膜タンパク質またはコートタンパク質と同一ではない。ウイルスの他の多くの膜タンパク質は、これらの顕著な構造を形成しない。

 ■ Sタンパク質の主な役割
 Sタンパク質の主な役割は、ヒトの細胞表面にある受容体と結合して感染を起こすことです。Sタンパク質が受容体と結合することでウイルス本体がヒトの細胞と融合し、コロナウイルスの遺伝子がヒトの細胞内に移行して感染が成立します。

日々騒がれている変異型ウイルスは、いずれもこのSタンパク質を構成するアミノ酸の1つが突然変異を起こして、トゲトゲの構造が少しだけ変わり感染しやすくなったものことを指しています。変異したアミノ酸の種類と番号によって、様々な変異型が存在します。

また現在日本で使用されているファイザー社製およびモデルナ社製のmRNAワクチンは、このSタンパク質のみをヒトの細胞内で人工的に作る遺伝子を利用したワクチンです。ヒトの細胞内で作られた人工Sタンパク質に人体免疫系が強く反応することで、新型コロナウイルスの感染に対する抵抗力(抗体)が獲得できるというわけです。

 ■ SARS-CoV-2のネイティブスパイクタンパク
 SARS-CoV-2のネイティブスパイクタンパクは直接細胞毒性を持ち、複数のモデルで血液脳関門を開くことが示されています。

新型コロナウイルスに感染すると、感染を防ぐ中和抗体ばかりでなく、感染を増強させる抗体(感染増強抗体)が産生されることを発見した。 感染増強抗体が新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の特定の部位に結合すると、抗体が直接スパイクタンパク質の構造変化を引き起こし、その結果、新型コロナウイルスの感染性が高くなることが判明した。 感染増強抗体は中和抗体の感染を防ぐ作用を減弱させることが判明した。

 ⇒ ウイルスの種類

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