Subject   : インフラマソーム(inflammasome)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 インフラマソーム(inflammasome)
 がんやウイルス感染、活性酸素などの様々な異物(非自己由来の物質)によるストレスを感知して細胞内で形成されるタンパク質の複合体。

免疫応答を誘導する自然免疫受容体が得た情報に基づいて細胞内で形成され、生体の防御機構である炎症応答の誘導に必須。

インフラマソーム活性化の結果放出されるインターロイキン1βが病態に関与する疾患は数多く存在します。代表的なものとしては痛風やアルツハイマー型認知症などがありますが、他にもアレルギーや喘息、多発性骨髄腫、最近では、新型コロナウイルス感染症の重症化との関連も明らかになってきました。

NLR、ASC、カスパーゼ1から構成される。尿酸結晶やDAMPsにより活性化され、カスパーゼ1がIL-1βのN末端を切断することでIL-1βを活性型にする。

マクロファージは細胞内への病原体の侵入を感知するとインフラマソームを形成してカスパーゼ1を活性化し、IL-1βやIL-18などのサイトカインを分泌すると共に、パイロトーシスと呼ばれるカスパーゼ1依存性の細胞死を起こす。

<出典:HealthWordsWiki>

● インフラマソーム複合体
 インフラマソームを構成するタンパク質の1つであるパターン認識受容体が、病原体の感染や組織傷害を感知して活性化されることにより、インフラマソームの活性化すなわちインフラマソーム複合体を形成するトリガーとなる。インフラマソーム複合体は最終的にカスパーゼ-1を活性化し、炎症性サイトカインIL-1β/IL-18を放出させて炎症を惹起するほか、パイロトーシスと呼ばれる細胞膜の崩壊を伴うプログラム細胞死を誘導して、神経病態に関与する。インフラマソームの活性化は免疫細胞(主にミクログリアやマクロファージ)だけでなく、神経細胞、グリア細胞においても観察されており、脳血管障害や神経変性疾患において神経炎症の促進や病態の進展への関与が示されている。

 ⇒ 抗原と抗体

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