Subject   : IgGの種類

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 IgGの種類
 IgG は血液、リンパ液、脳脊髄液および腹水における主要な免疫グロブリンで、液性免疫応答において重要な役割を果たします。健康なヒトの血清 IgG は、アルブミン、酵素、他のグロブリンなどが含まれる全タンパク質の約 15% を占めています。

ヒト、マウスおよびラットにおいて記載される4つの IgG サブクラスがあります。サブクラスは、ジスルフィド結合の数、ヒンジ領域の長さとフレキシビリティにおいて異なります。可変領域を除くと、一つのクラスの全免疫グロブリンは約 90% の相同性を共有しますが、クラス間では 60% のみです。

IgG サブクラスの同定は、潜在的な抗体欠損を示す重要なツールとなり得ます。選択的 IgG サブクラスの欠損は疾患と関係があります。長期または重度の感染症の場合、IgG レベルの同定により、疾患の徴候についてさらなる見識が得られます。免疫系は小児期に成熟するので、ドナーの年齢に相関した IgG サブクラス濃度を知ることが重要です。

<出典: >

● IgG1
 IgG1 は主要なIgGの全サブクラスの 60〜65% を占め、タンパク質およびポリペプチド抗原に対する胸腺依存性免疫応答に大きな役割を果たします。IgG1 は、食細胞の Fc 受容体に結合し、C1 複合体への結合を介して補体カスケードを活性化することができます。IgG1 免疫応答は、新生児で既に測定され、乳児期に通常濃度に達します。IgG1 アイソタイプの欠損は通常、低ガンマグロブリン血症の兆候です。

● IgG2
 IgG2 は、IgG アイソタイプで 2 番目に多く、主要サブクラスの 20〜25% を占めています。糖鎖/多糖抗原に対する一般的な免疫応答です。通常 6〜7 歳までに「成人」 濃度に達します。全ての IgG アイソタイプ欠損症の中で、IgG2 の欠損が最も一般的で、乳児の気道/呼吸器感染の再発に関係があります。

● IgG3
 IgG3 は、全 IgG の約 5〜10% を占め、タンパク質またはポリペプチド抗原に対する免疫応答において主要な役割を果たします。IgG3 の親和性は、IgG1 の親和性よりも高い場合があります。IgG3 の欠損では、免疫不全症が疑われ、細菌感染,とくに肺炎球菌やインフルエンザ桿菌に対して易感染性を呈し,副鼻腔炎、中耳炎,気管支炎,肺炎を繰り返す,重症化する,抗生剤治療に対する反応が不良である場合がある.

● IgG4
 IgG4 は通常、全 IgG の 4% 未満を占め、多糖類には結合しません。これまで IgG4 の検査は食物アレルギーに関連するものでした。最近の研究により、IgG4 陽性形質細胞の浸潤によって引き起こされる硬化性膵炎、胆管炎および間質性肺炎を患う患者において、IgG4 の血清レベルの上昇が見られることがわかっています。 血液中でIgG4が高値になると、 IgG4関連疾患(IgG4 related disease: IgG4RD)で、主に膵臓、唾液腺、涙腺、腎臓、血管/後腹膜などを含む全身のいろいろな臓器が腫れたり、硬くなったりする原因不明の病気になる可能性があります。


 ⇒ 抗原と抗体

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