Subject : DNA損傷
カテゴリー : 学術情報 > 生化学
DNA損傷
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DNA損傷とは、DNA分子に生じる本来の構造とは異なる化学変化である。生体内のDNAは、複製や転写の過程においても切断や他の分子との結合が頻繁に行われているが、生体反応過程の構造は損傷には含めず、通常のDNA代謝とは異なる過程によって生じたDNAの化学変化を指すのが一般的である。
DNA損傷の原因には、好気呼吸に伴う活性酸素、一部は抗がん剤などとしても使用されるDNA修飾薬剤、紫外線、電離放射線などがあげられる。具体例の一つとして、生体内ではミトコンドリアでの好気呼吸(酸化的リン酸化)の結果として活性酸素が生じるが、活性酸素はDNA塩基に酸化(酸化損傷)を引き起こす。代表的な酸化損傷にグアニン(G)の8位の炭素が酸化された8-オキソグアニンがあり、本来のシトシン(C)と同程度にアデニン(A)と対合する性質を持つ。そのため、8-オキソグアニンを含むDNAがそのままDNA複製を通過すると、元々のG/C対合からT/A対合へ塩基配列が変化することになる。また、太陽紫外線を浴びると皮膚細胞にはピリミジンダイマー(主に隣り合ったチミン塩基同士が共有結合を形成した二量体など)が生じ、そのままではDNAの複製や転写ができなくなる。さらに、DNA分子自体も完全に安定ではないため、自然に塩基の脱落(脱塩基)が起きることが知られている。なお、放射線は分子を電離させる作用を持つため、DNAが放射線に曝露されると直接あるいは間接的な電離を介して多様なDNA損傷が生じる。放射線が生じさせる主なDNA損傷には、生体分子の電離(ラジカル生成)を介した酸化損傷をはじめとする塩基の化学構造変化、タンパク質などとDNA塩基との間に共有結合が形成されるクロスリンク損傷、DNA鎖の切断(一本鎖もしくは二本鎖の切断)があげられる。このうち、DNA二本鎖切断は、修復がうまくできなければゲノムDNAの大規模な喪失や細胞死につながる可能性が高いことから、最も重篤なDNA損傷とされている。
<出典:Wikipedia>
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