Subject   : ナフサ(naphtha)

カテゴリー  : 産業・技術 


 ナフサ(naphtha)
ナフサ(naphtha)とは、原油を常圧蒸留装置によって蒸留分離して得られる製品のうち沸点範囲がおおむね35−180℃程度のものである。粗製ガソリン、直留ガソリンなどとも呼ばれる。

蒸留範囲の違いによって軽質ナフサ、重質ナフサ、この両者を含むフルレンジナフサに大別される。 これらの留分は揮発油でもあり、粗製ガソリンとも呼ばれる。比重は0.7前後。液体。

ナフサのうち沸点範囲が35−80℃程度のものを軽質ナフサといい、日本では石油化学工業でのエチレンプラント原料として多く使用される。輸入原油を国内で精製して製造するものと、ナフサとして輸入するものが相半ばする。

沸点範囲が80−180℃程度のものを重質ナフサといい、接触改質装置に おけるガソリンおよび芳香族炭化水素製造の原料としての使用が中心である。これは重質ナフサが炭素原子を6個以上持つ炭化水素を主成分としているため、接触改質における脱水素環化反応によって芳香族炭化水素を多く生成します。

● ナフサ分解(naphtha cracking)
エチレン等の石油化学基礎製品を生産する方法で800℃程度に加熱されている 管状炉中に原料ナフサを水蒸気とともに通して熱分解する。

ナフサを熱分解によりエチレン(25-30%),プロピレン(15%)等のオレフィンを含む低分子にする。原料ナフサが希釈水蒸気(原料に対して0.5〜0.9の割合)とともに、バーナーで750-850℃にされた分解炉内の多数の管内を通過する。反応管は直径5cm、長さ20m程度で触媒は使用していない。この高温管内を通過する0.3-0.6秒間に分解反応がおこる。分解炉を出たガスはただちに400-600℃に急冷してそれ以上の分解を防ぐ。さらにリサイクル油を噴霧して冷却する。冷却された分解ガスはガソリン精留塔で重質成分を分離する。次のクエンチタワーでは塔の上部から水を噴霧して水分とガソリン成分(C5-C9)を凝縮分離する。次にソーダ洗浄塔で酸性ガス(硫黄分、炭酸ガス等)を除去する。水素は途中の深冷分離器(-160℃、37気圧)で分離される。メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパンは各々蒸留塔を通過すること順次純成分に分離される。これらの分離は困難なものであり、20気圧程度で各々30-100段もの高い蒸留塔が必要である。

● C5留分
ナフサ分解によって副生する。合成ゴム原料に使用されるイソプレンを15〜20%程度含有している。イソプレン抽出後のC5留分にはジシクロペンタジエン、ピペリレン等の有効留分が含まれており、石油樹脂、香料等の原料に使用されている
 ⇒ 石油の精製
 ⇒ 天然ゴム

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