Subject   : 天然ゴム

カテゴリー  : 学びの館 > 化学 


 生ゴムとラテックス
ゴムの樹(主にへベアブラジリエンシス)の樹皮 に切付けを行うと,牛乳状の樹液が流出し,これをラテックスという。ラテックス の成分は,水60%,ゴム炭化水素36%,タンパク質2%,その他糖など2%であ る。ゴム炭化水素は,疎水性のコロイド粒子となって分散しており,タンパク質な どがこれを保護している。
 生ゴムとは、ラテックスに少量のギ酸や酢酸,または亜硫酸ナトリウムなどを 加えてゴム分を凝固させ,これを圧延・水洗して乾燥させたものです。
 生ゴムの主成分は,シス-1,4構造のポリイソプレン(約93〜94%)で,他に樹脂, タンパク質,糖額などを含み,平均分子量は30万,平均重合度は4400程度である。
 加硫
生ゴムは,温度により物理的性質が変化する。高温では可塑性となり,弾性も小 さくなる。低温では部分的に結晶となり,弾性を失う。グッドイヤーは,生ゴムに 硫黄を加えて加熱することにより,この欠点をなくした。硫黄は,ゴム分子間に橋 かけを行うので,このような効果があらわれる。一般に,ゴム分子間に橋かけ構造 をつくる操作を加硫という。
 加硫に用いる硫黄の量は,普通0.3〜3.5%で,5%以下の場合は弾性の大きい 軟質ゴムとなる。30%以上のときは,硬いエボナイトとなる。
 加硫促進剤として,ZnO,MgOのほか,有機化合物などが用いられる。

ゴムの鎖状分子は,らせん状の構造をとり,これが折れ曲がった糸くずのように なって無秩序に配列している。分子間は,ところどころで架橋構造をもち,分子間 のすべりを防いでいる。加硫を行うと,架橋の数が増加し,弾性率が大きくなる。 最も弾性率が大きくなるのは,硫黄を1.5〜2.0%加えたときである。
十分な弾性を示すには, 一定以上の温度が必要である。低温では結晶化し,ガラス状になる。高温では,分 子鎖がブラウン運動を行い,弾性が大きくなる。たとえば,ゴムひもにおもりをつ るして伸ばし,これに熱湯をかけると,ゴムひもは収縮しておもりをもち上げる。
 ゴムは,引き伸ばすと数倍の長さまで伸び,ゴム分子は引き伸ばされ,束状の繊 維に似た構造をとる。外力を取り去ると,分子の熱運動により元の状態に戻る。
 ゴム類似天然高分子化合物
 グタベルカは,ガタバーチャやグッタベルカとも呼ばれ,熱可塑性である。赤鉄 科のParaquiumの葉から得られる。構造は,トランス-1,4-ポリイソプレンで, 白色で硬い。ゴルフボールの外皮や歯科充てん剤に用いられる。

 チクルは,赤鉄科のAchras zapoteから得られ,トランス形とシス形の 1,4-ポリイソプレンを3:1の混合比で含んでいる。 室温では硬いが,かんでいるとしだいに軟化するので、チューインガムの 原料に使用される。

 ⇒ 高分子化合物の分類
 ⇒ 合成ゴム

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