Subject   : 電子をプローブとする分析技術

カテゴリー  : 産業・技術 


 電子をプローブとする分析技術
 電子線を薄膜・固体表面に入射させるときに、その表面あるいは直下での、電子と原子の相互作用を利用する分析法である。得られる情報としては、形状の識別、元素組成の識別、結晶構造や結晶方位の識別、さらに化学結合状態の識別などである。  具体的な方法としては、低速電子線回折法、高速反射電子線回折法、電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過電子顕微鏡、オージェ電子分光法、EPMA法などである

● AES(Auger Electron Spectroscopy)
オージェ電子分光法(オージェ効果)
定性(%オーダー以上)深さ方向元素分布 面分解能(≧1μm程度) 半定量(標準試料があることが望ましい) 深さ方向分解能(数nm程度)
脱ガスが少ないこと 20mm口以下厚み5mm以下 分析領域1μm以上 分析箇所が特定できること H,Heは分析不可

● ERDA(Elastic Recol Detection Analysis)
弾性反跳粒子検出法
反跳粒子の深さ方向分布及び組成比 特にHの分布が可能 深さ方向分解能(〜50〜100nm) 分析領域〜1nmφ
数nm口以上 非破壊といっても照射によるダメージを受ける。特に結晶性評価をする場合は照射量の限度を把握する必要がある。

● LEED(Low Energy Electron Diffraction)
低速電子線回折法、電子回析(動力学的回析理論)を利用
結晶表面の構造 例:洗浄な結晶表面の構造 表面再構造、表面欠陥、ガスの吸着構造、超薄膜のエピタキシャル成長
超高真空中で洗浄な結晶表面を準備する必要あり 構造解析には計算機シュミレーションが必要となる AES測定を同時に行うことができる

● RHEED (Reflection High Energy Electron Diffraction)
高速反射電子線回折法、電子回析を利用
表面構造 結晶表面の構造 例:洗浄な結晶表面の構造 表面再構造、表面欠陥、ガスの吸着構造、超薄膜のエピタキシャル成長
超高真空中で洗浄な結晶表面を準備する必要あり 構造解析には計算機シュミレーションが必要となる AES測定を同時に行うことができる

● SEM (Scanning Electron Microscope)
走査型電子顕微鏡、二次電子(反射電子)
表面形態(最高分解能0.7nm) 組成情報(反射電子像によるコントラスト)
3×5×3mm程度 通常絶縁体では帯電を避けるために金属をコーティングする必要あり

● TEM(Transmission Electron Microscope)
透過電子顕微鏡、透過電子の回析
nmオーダーの組成、構造に関する情報 例:転位、積層欠陥、析出物、grain、磁区観察、デバイス構造、その他
入射電子の試料中での広がりの効果がある。 (発生領域は、加速電圧、試料の平均原子番号により異なる) 5×5×1mm程度 通常SEM機能を兼ね備えている 定量にはZAF補正または標準試料を用いる。

● EELS(Electron Energy Loss Spectroscopy )
エネルギー損失
元素の定性、定量 例:表面プラズモン、表面エキシトン、電子の表面状態
非破壊

● EPMA(Electron Probe Micro Analysis )
EPMA法、内殻電子の励起→緩和過程での特性X線の発生
元素の定性、定量分布(ビーム径10nm〜500μmφ程度)
入射電子の試料中での広がりの効果がある。 (発生領域は、加速電圧、試料の平均原子番号により異なる) 5×5×1mm程度 通常SEM機能を兼ね備えている 定量にはZAF補正または標準試料を用いる。
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