Subject : TOF-MS
カテゴリー : 産業・技術
TOF-MS
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飛行時間質量分析法(Time Of Flight Mass Spectroscopy)
基本的には、ガスをイオン化してその質量を測定する質量分析法。しかし、表面に様々な刺激を与えて飛び出してくる物をイオン化して測定する事で表面分析にも用いられている。Q-Mass(四重極質量分析計)が連続的にイオン化室に入射してくるガスを電子衝撃でイオン化して、4本の電極に周期的な電圧を掛ける事でイオンを回転しながら振り分けるマスフィルターを通して検出器で測定するのに対し、TOFではパルス的にイオン化して、高電圧で加速し、フライトチューブと呼ばれるイオンが質量に合わせて一定時間飛行する円柱状の空間を通して、検出器にイオンを集光する。飛行時間はイオンの速度に依存するが、イオン化点からエキストラクターと呼ばれるTOFの入り口に置かれたリング状電極に印加された数kVの加速電圧によって加速されたイオンは、加速時に得たエネルギーは同じでも、質量が異なれば速度は異なる。その結果フライトチューブを飛行する時間は質量によって異なり、イオン化のタイミングから検出器にイオンが入るまでの時間をオシロやマルチチャンネルアナライザーで観測すればスペクトルが得られる。{(飛行時間)∝√(質量)}の関係で表される為、スペクトルから質量を決定する事が出来るのである。Q-Massと決定的に違うのは、フライトチューブを長くすれば長くするほど質量分解能が向上するので、高分解能である事(イオン質量の100万分の一程度の質量分解能が可能)、電場レンズで、イオン化点のほぼ全てのイオンを検出器に集光するため、異常に高感度である事である。フライトチューブを短くして飛行距離を稼ぐ方法として、現在はリフレクトロン型TOF(イオンを反射させてチューブの長さを半分)やTRIFT型TOF(三つの静電アナライザを使ってイオンを一回転させ分解能向上)が実用化されている。
表面分析法ではないが、様々な表面分析に利用されている。
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