Subject   : ESCA
カテゴリー  : 産業・技術 
 ESCA
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 ESCAとは、Electron Spectroscopy for Chemical Analysis
の略で、X線や紫外線を試料に照射することにより試料表面から放出される光電子のエネルギー分布を測定し、主に内殻光電子の原子核に対する束縛エネルギーから、試料表面の数nm程度に存在する元素の種類、存在量、化学状態に関する情報を得られます。
 X線を用いる場合を、
XPS (X-ray Photoelectron Spectroscopy)といいます。
 Ek=hν−Eb
 
 hν:X線の入射エネルギー
 Ek : 光電子運動エネルギー
 Eb :光電子束縛エネルギー
 
 
- ● 定性分析
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 広いエネルギー領域の測定(ワイドスキャン)を行い、現れたピークの種類(位置)から、H、He以外の全元素の同定が可能です。
 
 
- ● 定量分析
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各元素の光電子ピーク面積から、各元素の存在量についての情報が得られます。通常はエネルギーステップを細かく測定したナロースキャンスペクトルにより定量を行いますが、前述のワイドスキャンスペクトルからも、おおよその定量は可能です。
 
 
- ● 化学結合状態分析
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各元素のピーク位置は、結合状態に応じて数eVの範囲で変化します。この現象(化学シフト)を利用して、原子の化学結合状態に関する知見を得ることができます。この化学シフトの他に、ピーク形状、主ピークの周囲に現れるサテライトピークの大きさ等も、化学結合状態の判定に有用です。 
 
 
- ● 深さ方向分析
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XPSの測定にArイオンスパッタを併用することで、深さ方向に分析を行うことができます。波形解析による化学結合状態の分離を組み合わせることで、各化学状態ごとのデプスプロファイルを作成することも可能です。
(スパッタダメージにより組成・状態が変化することがあるため、試料間比較の形で利用する等の注意が必要です。)
 
 
- ◆ 一般的な特徴
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○長所 
 
- 検出元素の化学結合状態についての情報が得られる。 
- 非破壊分析である。(最表面測定時) 
- 絶縁物の測定ができる。 
- SIMS、AESと比べ、定量精度が高い。 
 
 
 ⇒ 
物理(化学)分析装置
 
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