Subject : 揚水式発電
カテゴリー : 産業・技術
揚水式発電
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水車の歴史は古く、蒸気機関が発明される以前から動力として利用されていた。発電事業が始まると間もなく、水車を動力として利用する水力発電が始まった。水力発電は大きな水源があれば、一度設置すれば動力費が掛からない上、必要なときに何時でも発電できるという自然エネルギーの利用方法としては非常に優れた方法である。最新式の水力発電所は遠隔地からの指令で流量を変え、出力を変えるという無人運転が可能で、保守要員以外人手が不要である。
しかし、わが国などでは水源の容量が少さく、必要なときに水を確保することが難しくなってきている。一方電力は貯めておくことができないという基本的弱点を持っている。このお互いの弱点をカバーするため、下流側に下池を設け、電力が余っている時に下流側の水を上流側の上池に汲み上げ、電力が不足する時にそれを利用しようと言う考えがでてきた。これが揚水式発電である。
特に、わが国のように昼間の電力需要が夜間の電力需要に比し極端に高い場合(2倍以上に達する)、そのピーク電力をどのようにして供給するかは、経済的にみて大きな問題である。
一方、原子力発電所は設備償却費が高く燃料費が安い特徴があり、最新火力と言われるコンバインドサイクル発電は従来火力に比べ発電効率が高いため燃料費が比較的安い、このような特徴を生かすには夜間部分負荷運転をするより全出力運転を続けた方が有利である。従って昼間のピーク電力に対応するには、従来型火力を朝起動し、夕方停止することで対応している。しかし、火力は起動に数時間を要しかつ急速な負荷変化に追随することが出来ず、即応性がない。
また電力システムの信頼性を確保するためには、系統事故等の場合のバックアップ電源を確保しておく要があるが、火力発電のみでは、即応性がなく十分な信頼性が確保できない。
このような用途には、数分で起動・停止でき、かつ起動後数秒で出力を大きく変えることが出来る水力発電が向いており、専用の揚水発電所が建設されるようになった。
揚水発電所には、揚水運転で汲み上げた水のみで発電する純揚水発電所と、在来水力同様、一部天然の河川水も用いて発電する混合揚水発電所がある。上池と下池が比較的高落差で得られるような立地があれば、これらの池は比較的小型ですむ。下池の水をポンプアップすると揚水効率は90%程度であり、この水を再利用する場合、発電効率は80〜90%程度であるから、当然エネルギーロスが生ずる。しかし、それを計算に入れても、新規に火力発電所を建設するより有利と評価できる場合は、この揚水発電所が有利となる。
山が海に迫っているような立地が得られれば、海を下池に利用できるため経済的に有利であるため、海水揚水が一時検討されたが、海水が山の森林を枯らすなどの公害を起こす恐れがあり、この種の海水揚水は実用化されていない。しかし現在、これらの公害を起こさない海水揚水として、海を上池とし700-800m下の大深度地下に大きい空洞を掘削してこれを下池とする大深度地下海水揚水発電所の計画が検討されている。(
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