Subject   : IMTF/OTF

カテゴリー  : 産業・技術 


 MTF/OTF(Modulation Transfer Function / Optical Transfer Function)
 光学系の結像性能は、簡単にはミリ当たり何本まで格子チャートを分解できるかという解像力によって表される。しかしこの方法には、装置や人による測定誤差が大きい、解像力と視覚上の鮮鋭さとが必ずしも一致しないなどの欠点がある。そこで光学系を電気回路と同じように、被写体のもつ空間的な情報という入力信号を、像という出力信号に変える情報伝送系の一部として考え、その伝送の忠実さを表す量としてOTFが考えられた。すなわちOTFは、レンズの結像性能を評価するために、被写体のもつコントラストや位相をどの程度忠実に像の中に再生する能力があるかを、空間周波数(単位:本/mm)に対して示したものである。具体的には、黒から白への濃淡が正弦波的に変化するチャートを被検レンズを通して結像させ、これを細かいスリットで走査して、コントラストの低下と位相のずれを測定して求める。

 ○  OTF(Optical Transfer Function)
 OTFは、横軸に空間周波数、縦軸にコントラストをとって図示することが多いが、精密に評価する場合は像高(視野中心からの距離)や方向(R:視野中心に対して放射方向、ラジアルとT:同心円方向、タンゼンシャル)、デフォーカスなどの変化も含めて多様な表示法がとられる。
 OTFは厳密には複素数で表され、コントラストだけでなく各空間周波数で像に生ずる位相ずれの特性も含んでいる。 MTFは複素数の絶対値に対応するもので、像のもつコントラストの特性だけを表すが、これに対し位相特性を表すのがPTFである。しかし日常的には、MTFはOTFのほぼ同義語として使われることが多い。

 OTF曲線としては、広い範囲にわたって1に近いフラットな形であることが望ましいが、実際には高周波になるほどコントラストは低下しついには0となる。この理由は、レンズの収差や回析のために点光源やスリットの像が完全な点像や線像にならず、広がった強度分布(これをPSF:点像分布関数、LSF:線像分布関数という)を示すからである。したがって、一般にはPSFやLSFを測定して、計算(フーリエ変換)によってOTFを求める方法が行われている。
 ⇒ 人工衛星(Artificial Satellite)

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