Subject   : 干渉計(interferometer)

カテゴリー  : 産業・技術 


 干渉計(interferometer)
 複数の可干渉性波動を重畳して干渉波を生成し、その干渉波強度の時・空間分布(干渉縞)を解析的変換(数値演算処理)、あるいは物理的直接過程で変換することによって、種々の物理量を導出・測定する装置。リモートセンシングでは電磁波(光波、マイクロ波、電波領域を含む)干渉が主として分光放射測定に、またマイクロ波映像センサに利用される。

 光波干渉計では、入射光束(観測放射束)を複数の光束に分割し、それらの光束相互間に光路長(位相)差を与えたのちに重畳して光波干渉を起こさせ、その干渉波強度(干渉縞)を測光(光電変換)する。

 光束分割手法には波面分割、振幅分割、偏光面分割干渉法があり、また干渉光束数では、二光束干渉法と多光束干渉法とがある。  二光束干渉法での光学配置には、Jamin型、レイリー型、Mach-Zehnder型、マイケルソン型、 Twyman-Green型干渉計があり、多光束干渉法では、ファブリー・ペロ型、Lummer-Gehrcke型干渉計が用いられる。リモートセンシング用光学センサでは、光学配置の簡便さのため、専ら振幅分割・二光束干渉・マイケルソン型干渉計が用いられて来た。その実装光学配置においては、高光束利用率・高干渉変調率の達成、専有容積の縮小、また光学調整保持(自己補償型光学配置)のための改良が種々独自に施されている。
 超高波数分解はファブリー・ペロ型干渉計が優れる。その実用化の試みはあるが、高次干渉成分遮断のための前置分散系を必要とする等の装置構成の複雑さから、リモートセンシングでは実装されるには至っていない。  二光束干渉での干渉波強度は、干渉縞強度の空間分布を結像面の座標軸に対して直接測光されるか、あるいは二光束相互間の相対的光路長(位相)差を走査して、干渉波(0次干渉縞)強度を光路長(位相)差Δxの関数として測光される。この測光信号のうち光路長差Δxの走査に伴って変化する部分IAC(Δx)は干渉光に含まれる分光スペクトル強度B(σ)の波数σ空間に渡るフーリェ積分になる。従って、IAC(Δx)をフーリェ逆変換(数学的演算処理)すること(フーリェ変換分光法)によって分光スペクトル強度B(σ)が出力される。

 干渉分光法は、同時測光の多重度および光束利用の点で分光学的有利さをもち、また高分解分光に装置技術面での有利さがあることから、放射温度が低く、また検出器感度の低い赤外・遠赤外波長域での分光放射(赤外放射スペクトル)測定に有用される。  なお、マイクロ波リモートセンシング分野においては、SARに干渉計を連係させるセンサ技術(INSAR)の試みがある。

 ○ インターフェロメトリ(interferometry)
 干渉計の英語名。 合成開口レーダ(SAR)を用いるインターフェロメトリに限定して述べる。  SARに干渉計の手法を組み合わせて地形の3次元情報を得る技術を SARインターフェロメトリ、そのような観測を行うSARをインターフェロメトリックSAR (干渉SAR、INSAR)と呼ぶ。干渉計の構成としては、現在、次の二つが実現している。すなわち、一つは航空機に二つのアンテナを搭載するもの、もう一つは衛星の近接した2軌道の画像データを用いるものである。
 ⇒ 人工衛星(Artificial Satellite)

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