Subject   : 電気信号向け測定器の種類と特長

カテゴリー  : 産業・技術 > 測定・分析


 電気信号向け測定器の種類と特長
 電気信号向け測定器は,その用途に応じてさまざまな機種が用意されています。 ここでは,以下に挙げる代表的な5つの測定器について,特長と用途を説明します。

 ○ マルチメータ(Multimeter)
ロータリー・スイッチやスライド・スイッチなどを使って機器内部の計測回路を切り替えることで、 直流および交流の電圧/電流、抵抗値、静電容量などを測定する機器。テスターや回路試験器とも呼びます。 マルチメータは大きく分けて2つあり、1つは指針を使ってアナログ表示するアナログ・マルチメータ。 もう1つは、アナログ・デジタル変換を実行し、モニタに数字で表示するデジタル・マルチメータです。

電子電気機器の開発や、設置作業、保守点検など。

 ○ オシロスコープ(Oscilloscope)
縦軸に電圧、横軸に時間をとり、電気信号の波形を表示する測定器です。従来は、 電気信号によるブラウン管の描画機能を利用したアナログ・オシロスコープが使われていましたが、現在は、 アナログ・デジタル変換器(A-D変換器)とメモリーを利用することで解析機能などを高めたデジタル・ストレージ・オシロスコープが主流になっています。 しかし、デジタル・ストレージ・オシロスコープは、取得した電気信号すべてを表示しているわけではないため、突発的に発生する異常信号を逃す危険性があります。 そこで、こうした異常信号の補足といった目的では、現在でもアナログ・オシロスコープが使われています。

電子電気機器の開発や、故障解析など。

 ○ スペクトラム・アナライザ(Spectrum Analyzer)

縦軸に電力もしくは電圧、横軸に周波数をとり、電気信号を表示する測定器です。略してスペアナと呼ばれています。 取得した電気信号は、画面を左側から右側に向かって、周期的に掃引される点で表示されます。 一般的には、こうした掃引型が多いですが、最近では全帯域の電気信号を一括して取り込むデジタル・サンプリング方式(リアルタイム方式)が登場しています。 対応する電気信号の周波数によって複数の機種が用意されています。

無線通信機器の研究開発や設計、検査、保守、修理など。 フィールドでの電界強度測定。EMC関連の雑音レベル測定。

 ○ ネットワーク・アナライザ(Network Analyzer)
高周波回路やマイクロ波回路、高周波デバイス(素子)などの高周波特性を測定する機器です。 高周波信号を入力し、反射電力や通過電力を測定することで、高周波特性を把握します。 スミス・チャートを画面上に直接表示することで、高周波/マイクロ波回路やアンテナのインピーダンス整合を確保する作業が視覚的に実行できるようになります。 ネットワーク・アナライザは大きく2つあり、1つは振幅と位相の両方を測定できるベクトル・ネットワーク・アナライザ、もう1つは振幅だけを測定するスカラー・ネットワーク・アナライザです。 現在では、ネットワーク・アナライザと呼んだ場合、ベクトル・ネットワーク・アナライザを指すことが多いようです。

高周波/マイクロ波に対応した電子機器やデバイスの研究開発、設計、検査など。

 ○ ロジック・アナライザ(Logic Analyzer)
デジタル回路の動作波形を取得し、表示する測定器。一般的には、電気信号をハイ(How)とロー(Low)の二値で取り込んで表示します。
バス・インターフェイスを測定するために、16〜64といった多くの入力チャネルを備えています。 実装したソフトウエアを使って、バス・インターフェイスのプロトコルにデコードして表示したり、 タイミング・チャートで表示したりする機能を備えた機種もあります。

デジタル回路の設計、故障解析、検査など。
 ⇒ 計測・測定技術

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