Subject   : スーパーレンズ(Super-RENS)

カテゴリー  : 産業・技術 > 


 スーパーレンズ(Super-Resolution Near-Field Structure)
ミクロな物質を、回折限界を打ち破って観察するために、近接場光や表面プラズモン光のように局所的に存在する光を効率よく発生させるデバイスのことを云います。スーパーレンズを用いると、例えば波長700 ナノメートルのレーザー光を用いて100 ナノメートル以下の微少なマークの記録・読み出しが可能となります。このようなデバイスの構造を、スーパーレ ンズ(Super-RENS : Super-Resolution Near-Field Structure = 超解像近接場構造)と名付けられています。LENS ではありません!

 ○ 回折限界
 どんなに高性能の優れたレンズを用いても、光はその波長サイズよりも小さく絞りこむことはできません。この物理的原理を回折限界と呼びます。この回折限界のため、光学顕微鏡の空間分解能は、どんなに頑張っても、観察に用いた光の波長の半分程度です。現代のナノテクノロジーの要求に応えるため、この回折限界を超えた解像度を持つ顕微鏡が渇望されていますが、それに応える一つの技術が、「近接場光」を用いたものです。

 ○ 近接場光
光には我々が通常「光」と呼ぶ伝搬光のほかに「近接場光」というものがあります。物に光を照射すると、その物の周辺100 ナノメートル程度(可視光の波長よりも小さい!)の範囲には近接場光が生じています。伝播光は文字通り遠くへ伝播していく光のことですが、近接場光は“しずく”のように局所から“しみだした”光のとであり、伝播することはありません。
例えば、光を透過しない金属フィルムに、光の波長よりも小さい100 ナノメートル以下のサイズの小さな貫通した孔や溝を形成し、フィルムの裏面から光を照射します。伝搬光はこのフィルムの裏面で反射されるので、孔を通り抜けてフィルムの表面に生じる光は、ほぼ近接場光だけになります。溝のサイズに応じて、数10 ナノメートルサイズの微小な光スポットを形成することが可能です。このような近接場光を用いて物体を観察すれば、回折限界を打ち破る解像度(光の波長の1/10 程度の分解能)が得られます(近接場顕微鏡)
 ⇒ プラズモン

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