Subject   : 偏波レーダー(Polarimetric radar)

カテゴリー  : 産業・技術 > 


 偏波レーダー(Polarimetric radar)
偏波機能を持つ気象レーダー。偏波とは、振動方向と進行方向を含む面が、ある定まった変化をする波。電磁波では電界の振動方向が一定の直線偏波と回転する回転偏波があり、回転偏波は電界の大きさが等しい円偏波と大きさが変化する楕円偏波に分けられる。

気象用の偏波レーダーには、二重偏波レーダーとコヒーレント二重偏波レーダがあります。
二重偏波レーダーは、垂直偏波と水平偏波の2種類の電波を発射し、雨粒の形状を利用して2種類の電波の反射率の差から降水強度を求める。雨、雪、あられの 高精度雨量測定が可能である。
コヒーレント二重偏波レーダは、垂直偏波と水平偏波の2種類の電波を発射し、2種類の電波の位相の差から降水強度を求める。送信電力の大小、雨粒の大きさ、降雨による減衰などの影響を受けにくいため、定量的な観測が可能だとされる。

日本では、2周波、2偏波、ドップラーの機能を全部またはいくつか組み合わせてレーダシステムは、 マルチパラメータレーダ( multi parameter radar) という言葉が使われます。  Zdr、φdp、ρhv 等のパラメータを測定できるようになると、、アンテナ一つで、直交2偏波(45度偏波も含めて)、位相測定(ドップラーシフト測定)可能なレーダが次世代レーダ 従来の気象レーダは一つの偏波を使うのに対して、マルチパラメータレーダでは水平と垂直の二種類の偏波の電波を使います。 マルチパラメータレーダによる降雨強度の推定の原理は、雨が強くなると、雨滴の形状が球形から扁平な形になるという事実に基づいています。

 ○ 降雨強度の推定に利用される重要なレーダパラメータ
種類 メモ
反射因子(ZH) 雨から反射して帰ってくる電波の強さで、従来の気象レーダが観測できるパラメータです。降雨 強度はあらかじめ決めていたR-ZH関係式から計算されます。
反射因子差(ZDR) 水平偏波の反射因子ZHと垂直偏波の反射因子ZVの比で定義されます。MPレ ーダが測定できる重要な偏波パラメータの一つで、雨滴の粒径分布に関する情報を得ることができ ます。
比偏波間位相差 (KDP) 水平偏波と垂直偏波の単位距離あたりの位相速度の差で定義されます。MPレーダが測定できる偏波パラメータの一つで、正確な降雨強度を求めることができます。

 ⇒ レーダ(radar)
 ⇒ XバンドMPレーダ

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]