Subject   : ガンダイオード(Gunn diode)

カテゴリー  : 半導体 


 ガンダイオード(Gunn diode)
 ガンダイオードはGUNNによって発明された半導体の発振器。

ガンダイオードはGaAs(砒化ガリウム)、InP(燐化インジウム)などの化合物において見られる現象で、n型半導体GaAsの中で、キャリアーである電子は電界に比例した速度で走るが、電界がある程度以上強いと速度が落ちてしまう性質がある。そこで長い半導体に高い電圧をかけて電界の強い部分と弱い部分を発生させると、高い部分の電子は遅いため高電界層の前は電子が不足し正に帯電し、あとは電子がたまるため負に帯電するので、電気ニ重層ができる。この電気ニ重層は高電界層をさらに助長するように働く。こうしてできた高電界層は陽極のほうヘ移動し、やがて陽極に達し消滅する。消滅するとふたたび陰極付近に高電界層が発生し陽極ヘ移動する。こうして電流に振動が現れる。この振動はかなり速いのでマイクロ波の発振が得られる。このようにマイクロ波の発振、増幅には電子、正孔などの走行時間を利用したものが多い。

電子が存在するのはk=0のところで、ここでの有効質量はm*=0.07m0で、0.36eV上のところのX点の伝導帯の極小点での有効質量はm*=0.3m0である。すなわち、移動度がk=0点の方がX点の方より3倍以上大きい。このため、シリコンの電気伝導とは大きく異なることになる。

シリコンの電流電圧特性は、電圧の低い部分では電流が電圧に比例し、さらに高い 電圧では比例直線からはずれ、電圧が高くなるほど飽和状態に近づく。 これに対して砒化ガリウムの場合は電圧の低い部分ではシリコンと同じ状態になるが、高い電圧になると移動度の大きいのk=0点から電子のエネルギーが高くなり、 0.36eV上のレベルの移動度の小さいX点に遷移し始めるために電流がピーク電流(Ip)から減少しはじめ、さらに電圧が高くなると共にX点への電子の遷移が増加し、ほとんどの電子が遷移して飽和電流(Isat)状態になる。すなわち、静特性において、 負性抵抗(negative resistance)が現れる。 この負性抵抗の部分を使い、マイクロ波共振器(microwave resonator)に組み込むことで、マイクロ波発振が得られる。 また、もう一つのモードとして、過剰電子のドメインの伝搬によるマイクロ波発振の原理として、長さLのシリコン中で電子濃度の乱れが生じ濃度の過剰部分が生じた場合、過剰部において電界が大きくなり、移動度の高い状態で、電界が大きな部分が生じるとその部分の電子の移動度が低くなり、電子の過剰度が大きくなり、成長しながら、デバイスの端に走行して行く。これが、発振現象として外部回路に取り出さる。燐化インジウムもGaAsとエネルギー構造が似ているので、同じ働きをする。
 ⇒  化合物半導体

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