Subject : M&A(企業の合併・買収)
カテゴリー : 政治・経済
M&A(企業の合併・買収)
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企業の合併・買収のことですが、単純な合併、買収のみならず、一部事業の統合や資本提携なども含めた競争戦略遂行上の重要な選択肢のひとつです。
企業は、独自の戦略の遂行に必要な経営資源を短期間に調達するために、他社によって既に構築された資源をM&Aという方法を用いて自らの内部に取り入れます。グローバル経済の訪れとともに、日本企業もグローバル社会における競争優位性の確立が急務となり、自らの最も得意とする分野に資源を集中する『集中と選択』の戦略をとり始めています。90年代後半からのノンコア子会社やノンコア事業部の売却はこのような理由によるものです。一方、競争力の強化を望む日本企業も漸く過去の負の遺産処理を一通り終え、他社との差別化を図るために積極的な資源獲得のためのM&Aを行うようになってきています。戦後から長期間に渡り右肩上がりの経済を享受してきた日本経済は、今日のような淘汰・統合を予測していませんでした。従って、M&Aを迅速に行うための法整備も整っておらず、バブル以後の処理を必要以上に遅らせた一因となりましたが、これらの法整備も漸く整いつつあります。純粋持ち株会社、株式交換・移転制度、会社分割制度により、企業内再編や個別戦略の実現において企業が利用できる手法は、実に多様になりました。
優位性確立のために必要な経営資源にも変革が現れています。工業化時代には市場を凌駕するために必要な資源は金融資産や固定資産などの有形資産であり、これは資金さえ潤沢であれば誰でも手に入れることができ、持ち手が変わったからといってその価値が変動することはありませんでした。しかし昨今は、技術力やブランド力、リーダーシップ、企業文化など、目に見えない資産がより重要視されはじめており、これらは『資金があれば即入手可能』でないばかりか、M&Aによって獲得したとしても、資産が移転した時点でその価値が著しく変動する可能性があります。例をあげれば、技術力は極めて属人的であるため、合併や買収によって入手したとしても、従業員が離職すれば、価値が低下してしまいます。
獲得すべき無形資産は繊細になり、M&Aを行うために利用できる制度はより多様化・複雑化している現在、M&Aは従来のように単なる企業同士が合併したり、ある企業の株式を別の企業が買収したりという単純な形式をとるものばかりではなくなってきています。合併、株式の買収・売却のみならず、企業分割、企業提携、営業譲渡、事業統合等、自らの戦略実現のために最適な手法を選択することが必要となってきています。
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