Subject   : ダークエネルギー (dark energy)

カテゴリー  : 宇宙科学 


 ダークエネルギー (dark energy)
 ダークエネルギー (dark energy) とは宇宙に存在するエネルギーの半分以上を占めるとされるが正体が明らかでないエネルギーである。「真空のエネルギー」等がそうとされる。

ダークエネルギーとは、宇宙全体に広がって負の圧力を持ち、実質的に「反発する重力」としての効果を及ぼしている仮想的なエネルギーである。宇宙論研究者のマイケル・ターナーが最初に作った言葉であるとされる。現在観測されている宇宙の加速膨張や、宇宙の大半の質量が正体不明であるという観測事実を説明するために、宇宙論の標準的な理論(ロバートソン-ウォーカー計量)にダークエネルギーを加えるのが現在最もポピュラーな手法である。この新しい宇宙論の標準モデルをΛ-CDMモデルと呼ぶ。現在提案されている2つのダークエネルギーの形態としては、宇宙定数とクインテセンス (quintessence) がある。前者は静的であり後者は動的である。この二つを区別するためには、宇宙膨張を高い精度で測定し、膨張速度が時間とともにどのように変化しているかを調べる必要がある。このような高精度の観測を行うことは観測的宇宙論の主要な研究課題の一つである。 宇宙定数はアルベルト・アインシュタインによって、静的な宇宙を表すような場の方程式の定常解を得るための方法として最初に提案された(つまり、実質的にダークエネルギーを重力と釣り合わせるために用いた)。しかし後に、アインシュタインの静的宇宙は、局所的な非一様性が存在すると最後には宇宙スケールで膨張または収縮が暴走的に起こるため、実際には不安定であることが明らかになった。また、より重要な点として、エドウィン・ハッブルの観測によって、宇宙は膨張しており、静的ではありえないことが明らかになった。この発見の後、宇宙定数は歴史上の奇妙な存在としてほぼ無視されることとなった。

1970年代にはアラン・グースが、ごく初期の宇宙で宇宙定数が宇宙のインフレーションを起こした可能性を提案した。しかしインフレーションモデルが広く受け入れられた後でも、宇宙定数はごく初期の宇宙においてのみ重要であり、現在の宇宙とは無関係であると信じられていた。しかし、1990年代の終わりに人工衛星と望遠鏡の黄金時代を迎えると、遠方の超新星や宇宙背景放射を高い精度で測定することが可能になった。これらの観測で驚くべき結果が得られたが、これらの結果のうちのいくつかは、何らかの形でダークエネルギーが現在の宇宙に存在すると仮定すると最も簡単に説明できるものだった

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 ⇒ 銀河(galaxy)

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