Subject : 恒星の誕生
カテゴリー : 宇宙科学
恒星の誕生
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星は、宇宙にただよう水素やヘリウムのようなガスと塵(ちり)(これらをまとめて星間物質とよびます)が集まって誕生します。これから星になる直前の状態を原始星と言いますが、原始星は周囲の星間物質を重力で引き寄せながら成長し、その周りにはのちに惑星となるような物質が円盤を作ります。原始星の温度が十分に上がると、水素原子核4つからヘリウム原子核1つができる核融合反応が始まり、一人前の星として輝き始めます。この段階の星を主系列星と呼びます。質量の大きい星ほど激しく核融合反応がすすむので、質量の小さい星より短期間で主系列星の時代を終えます。さらに核融合反応が進んでいくと星はふくらみ始め、赤色巨星と呼ばれる赤くて大きな星になります。太陽の質量の8倍よりも小さい星の場合は、そのままガスを放出して一生を終えますが、それよりも質量の大きな星の場合は超新星爆発を起こして一生を終えます。
宇宙空間はまったくの真空ではなく、非常に薄い水素やヘリウムのガスや塵(ちり)のような物質がただよっています。これが星の原料になります。1cm3あたり約1,000個以上のガス分子が存在しているところを分子雲とよび、この中でも特に星間物質が多く集まっているところが星の生まれる場所です。多くの場合、星間物質が背景の星の光をさえぎってしまい暗く見えるので、暗黒星雲とも呼ばれます。星が生まれつつある分子雲はいろいろなところにあり、オリオン座やおうし座、へびつかい座、ペルセウス座の方向などにある分子雲が有名です。
このように星間物質がたくさん存在しているところでは、何らかの原因で星間物質の密度にむらができます。そのような場所では重力が強くなり、さらに周りの物質を引きつけてどんどん成長していきます。このとき中心に向かって落ちていく物質の重力エネルギーが中心部をあたため、赤外線を出すようになります。これが原始星の誕生です。原始星の周りにはこれから原始星へと降り積もっていく星間物質がたくさんあるので、波長の短い可視光はそれらの物質にさえぎられてしまい外に出てくることができません。このようなとても若い天体の観測には、あたためられた塵が出す赤外線や、分子ガスから出る電波を使います。アメリカの赤外線観測衛星「スピッツァー」や日本の赤外線観測衛星「あかり」などの活躍で、これまで知られていなかった原始星の姿が次々に明らかになっています。
原始星に見られる特徴として、原始星から勢いよく噴き出すガスの流れ「ジェット」があります。速いものでは秒速100kmにも達し、数光年の距離にわたって飛んでいくものもあります。このジェットを研究することで原始星の年齢や進化の様子を調べることができます。
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