Subject : ナツメグとメース
カテゴリー : 食品・料理
ナツメグとメース
-
ナツメグとメースは、ニクズク科の熱帯性常緑樹、またその種子から作られる香辛料である。学名は:Myristica fragrans。
ナツメグのインド名は、Jeephar、Jaayphal、Taifal、Kathal、サンスクリット名は:Jatiphala。和名は:肉荳(にくずく)、ニクズク。
英語の語源NutmegはNut (豆)+ meg(ムスク)でムスク様の芳香をもった豆からつけられている。
日本には嘉永元年、長崎に苗木として渡来。ニクズクの種子で肉のことを当時「しし」と呼んでいたところから、「ししずく」と呼んでいた。
メースのインド名は:Jaavitrii。
ニクズクの果実の中に、鮮やかな赤い網目状の仮種皮に包まれた黒褐色の殻が入っている。この仮種皮がメースで、仮種皮をはがして殻を割った中にある種子がナツメグである。
モルッカ諸島、西インド諸島、東インド諸島が原産とされる。
多くは雌雄異株で、樹高は10〜20mに達する。 つまり、雌の木と雄の木があって、1本の木を植えただけでは花は咲いても結実しない。これを知らないフランス人は、オランダの監視を逃れて苦労の末手に入れた木にニクズクの実がならないので不思議に思ったという。実際の栽培では、雌の木10本から20本に対して風上に1本の雄の木を植える。ナツメグは1年に約4千個収穫できるが、播種後7年以降に結実しだすという成長の遅い植物である。
6世紀にはすでにアラビア人によってヨーロッパに伝来していたようだ。
ナツメグが使用されたもっとも古い記録は、インドのバラモン教の聖典「ヴェーダ」に見ることができる。紀元前1000年頃に頭痛、熱病、整腸、口臭消しなどの薬として使われていたことが記されている。
アンズに似た卵形の黄色い果実をつける。果実は成熟すると果皮が割れ、網目状の赤い仮種皮につつまれた暗褐色の種子が現れる。
メースの部分をはぎとって、4〜8週間天日乾燥させ、種子もカラカラと音がするくらいに乾燥させてから割ってナツメグを取り出す。
種子全体または種子の仁を取り出し、石灰液に浸してから乾燥させ、粉砕したものを香辛料のナツメグとする。
独特の甘い芳香があり、挽き肉料理や魚料理の臭みを消すために用いられ、またクッキーやケーキなどの焼き菓子にも用いられる。
加熱すると刺激臭は弱くなり、甘さが出るのでクッキーやケーキなどに合うが、フルーツ入りのパイや焼きリンゴ、パウンドケーキやプディング、クリームスープなどにはナツメグよりメースのほうが、よりおだやかで上品な風味がする。シナモンと一緒に使うと一層甘さが増す。
ナツメグ特有のマスキング効果は肉料理だけでなく野菜料理、特にほうれん草、かぶ、キャベツ等の加熱時に生じる臭みを消し、野菜の甘みを引き出す効果もある。
粉の状態だと香りが消えやすいので、なるべくホールで買って使う度にナツメグ・ミルやオロシ金でひいて使うのがよい。
香りの主体となる成分はミリスチシン(Myristicin、Allyl -3,4,5-trihydroxybenzene-methylene-methyl ether)である。
多量(約10g以上)のナツメグは毒となるといわれる。痙攣を起こしたり、マリファナに似た幻覚を生じることがあるほか、摂取量が多い場合、肝臓障害をひきおこすことがある。過去には堕胎薬としてナツメグが使われたこともある。幻覚症状が現れ出すのは5gからという。
⇒
香辛料
[メニューへ戻る]
[HOMEへ戻る]
[前のページに戻る]