Subject : 超硬合金、サーメット
カテゴリー : 産業・技術 > 材料技術
超硬合金(Cemented Carbide)
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高融点炭化物の粉末を体積比で10〜30%のコバルト、ニッケルで焼結した、鋼では得られない高い硬さをもつ合金です。単に超硬とも呼ばれ、これを利用した工具を超硬工具と云う。一般的には炭化タングステン(WC、タングステン・カーバイド)と結合剤(バインダ)であるコバルト(Co)を混合して焼結したものを指す。主に切削加工や金型などの耐磨耗性を要求される分野で使用されます。
使用目的によっては、材料特性を向上させるために炭化チタン(TiC)や炭化タンタル(TaC)などを加える。超硬合金は高温時の硬度低下が少なく、非常に摩耗しにくいことから、ドリル、エンドミル、ホブ、フライス、旋盤、ピニオンカッタなどの金属加工用切削工具の材料として専ら使われている。
最初に開発された超硬合金は炭化タングステンWCをコバルトで焼結したものであった。現在はこのほかに炭化タンタルTaCなど炭化タングステン以外の高融点炭化物、窒化物を添加した合金が数多く開発されている。炭化チタンとニッケルが主成分の超硬合金は元来耐熱材料として研究されたために超硬工具として使用されているが、一般にはサーメットとよばれている。
最近では更に摩耗に強くする為に、超硬工具表面に窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)、チタンアルミナイトライド(TiAlN)、アルミクロムナイトライド(AlCrN)などの硬質物質をコーティング(化学気相成長(CVD)や物理気相成長(PVD))した切削工具が主流になりつつある。
超硬工具は自動車部品(エンジン部品、トランスミッション部品、ステアリング部品など)の加工の際に特に多く使用されており、個々の部品の加工精度の向上や製造コストの低減といった面で大きく寄与している。
- ● サーメット(cermet)
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セラミックスceramicsと金属metalの両者を含む耐熱材料。それぞれの頭3文字をとって命名されたもので、アメリカのバルガーA. L. Bergerがこの名を提案した(1949)。サーメットはスイスのハウザーH. Hauserが1926年に初めて開発したとみられている。広範囲のセラミックス(酸化物と炭化物)および金属(鉄、クロム、モリブデンなど)の組合せで、セラミックスの耐火性と耐酸化性、金属の大きな熱衝撃抵抗性と引張り強度との特性を備えた材料の開発が目的であった。
もっとも有効なサーメットは、TiC-Niサーメット(kentanium)、Al2O3/CrおよびAl2O3-Feサーメットである。サーメットの第一の用途は、ガスタービン翼およびその他の高温機械材料であるが、ムライト‐銅サーメットはブレーキ材として使用されている。製法としては焼結のほか含浸、積層、自己施釉(せゆう)などがある。
切削工具材質には、主に炭化チタン(TiC)や炭窒化チタン(TiCN)などのチタン化合物をニッケル(Ni)やコバルト(Co)で結合したものが多く用いられる。こうしたチタン系のサーメットは、超硬合金と比べて鉄との親和性が低く、鋼の仕上げ切削に於いてとくに有効とされる。 この他に硬質化合物としては炭化ニオブ(NbC)なども用いられる。
(出典)フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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