Subject   : ペンタセン (pentacene)

カテゴリー  : 産業・技術 > 材料技術


 ペンタセン (pentacene)
ペンタセン (pentacene) は5つのベンゼン環が直線状に縮合した多環芳香族炭化水素である。光や酸素に敏感である。ペンタセンは暗青色の粉末だが、酸化すると緑色を帯びるようになる。普通、市販されているものは、外側の層が酸化されているため緑がかっている。ペンタセンの精製には、真空昇華あるいは吸着クロマトグラフィーが利用される。

近年,電子デバイス材料として注目され,p型半導体への応用研究が活発に行われています。n型半導体としては炭素のみから成るC60が知られており,両者は有機性,分子性物質のトランジスタとして大いに注目されています。 伝導の原理は,ベンゼン環の二重結合に存在するπ電子が移動することである。これまで有機半導体はシリコンに比べて大幅にキャリア移動度が低いと見られていたが,ペンタセンに工夫を加えることにより,アモルファスシリコン並の0.1〜1cm/Vsのキャリア移動度を持つ化合物も合成されるようになり,一気に開発が活発化している。

ペンタセンは,真空蒸着法により簡単に薄膜が得られるが、旭化成は,ある溶媒にペンタセンを分散させ,窒素雰囲気中で全体を加熱して基板上に塗布することに成功した。試作した有機トランジスタは,トランジスタがオン時とオフ時のソース・ドレイン間電流の比(オン・オフ比)は1×106程度で,真空蒸着法によるペンタセンを使った有機トランジスタとほぼ同等という。

ペンタセンはアセンの一種であり、ベンゼン環が4つ縮合したものはテトラセン、6つ縮合したものはヘキサセンである。


 ⇒ 有機半導体材料(OSC Materials)

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