Subject   : 強相関電子材料

カテゴリー  : 産業・技術 > 材料技術


 強相関電子材料
強相関電子系とは、固体中の電子どうしの相互作用が強く、その電気的性質が多粒子的効果によって本質的に支配される物質群である。

その典型例は、銅酸化物の高温超伝導体であり、またマンガン酸化物の巨大磁気抵抗電子材料である。これらの物質における絶縁体(モット絶縁体)状態は従来のバンド計算では導くことができないもので、またその状態を起点として質的に新しい金属・絶縁体転移や金属状態を創ることもできるようになった。このため、強相関電子材料は、次世代のエレクトロニクスの一翼をになうものとして大いに期待されている。

「強相関」とはその名の通り「強い結びつき」のことを示す。物質に多数の電子が存在すると、電子同士に強いクーロン力が働き、反発して身動きがとれなくなる。電子があるにも関わらず、従来の絶縁体のように電気が流れない状態となる。
電子同士の相互作用が強くない場合は、電子一個の場合についてシュレディンガー方程式を解き、エネルギー固有値からバンド構造を調べることで電流が流れるか絶縁体になるかが分かる。しかし強相関系の場合、バンド構造から電流が流れると予測されても絶縁体になる場合があり、モット絶縁体と呼ばれる。 近年の強相関電子材料の研究は、磁気伝導、超伝導、 RRAM、マルチフェロイクといった新しい性質を追求するものが主流となっています

○ スピン−電荷−軌道
「強相関電子系物質」では、スピンと電荷の自由度に加えて、原子に束縛された電子が描く異方的な複数の軌道(電子雲)が第三の自由度として働き、結晶格子を歪めて電気抵抗を高くしたり、磁性や電気伝導に異方性を与えたりすることが期待されます。「スピン−電荷−軌道」の3つ自由度は互いに結合し、その結合の強さは精密な物質設計によって比較的自由に制御することができます。この「スピン−電荷−軌道」の3つが織り成す多彩で多様な複合現象が、電荷の自由度のみを用いている半導体材料には持ち得ない「強相関電子系物質」の潜在的能力・魅力と言えるでしょう。
 ⇒ 有機半導体材料(OSC Materials)

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