Subject : 粒界 (grain boundary)
カテゴリー : 産業・技術 > 材料技術
粒界 (grain boundary)
-
結晶粒間の界面または粒子の境界面。
物質を構成する結晶の内部構造は原子やイオンが特定の配列をなして結晶格子を形成し、物質固有の結晶構造をとる。物質の多くは、一般に、多数の小さな単位結晶(結晶粒)の集まり、すなわち多結晶体である。この場合の結晶粒間の境界を結晶粒界という。粒界は、結晶方位の異なる2つ以上の粒子の間にあって、粒内の原子配列の規則性や電子的ポテンシャル等に不連続を生じるところでもある。粒界の厚みは焼結時の温度、時間、雰囲気、原子の移動度などに依存している。
粒界の一般的な性質を次に示す。
(1)粒界の融点は粒子より一般に低い。
(2)原子、イオンの粒界拡散は粒内拡散より一般に速い。
(3)電磁気的、機械的、光学的性質が粒子と異なる。
(4)電子の捕獲中心が多く存在し、ポテンシャルバリアーが形成され易い。
また、マクロ的視野で見た結晶集合体としての物質粒子を一構成単位とすれば、これら粒子の境界面も粒界という。一般に、粒子粒径が小さくなるにしたがって粒子を構成する全原子数に対する表面原子の比が大きくなり、表面エネルギーが無視できないほど大きくなるため、粒子表面ではバルク状態とは異なる特性を使用することが可能である。
一般に固体の表面は、いわゆるas-grownの自由表面であるため、その表面の形成条件により表面特性も種々変化する。また、固体の表面は物質の違いによる差はあるが、必ず反応性を有している。特に、反応性の高い活性化水分子および酸素(O2-,O-)と速やかに反応する。
MCFCにおいて、粒界の関与する現象として、粒界腐食がある。腐食媒体により境界部が局部的に侵され、粒界に沿って逐次拡大していき、セル抵抗の増加、セル内物質バランスの変化など電池の性能低下の要因となる。また、電極または電解質などは金属粒子またはセラミックス粒子を用いた多孔質構造であり、高温または溶融塩雰囲気中での長時間におよぶ使用による粒子間焼結現象の進行に伴う微細構造の変化があり、これも粒界で発生する現象である。これらの対応として、物質の結晶および粒子界面の制御が今後必要となってくる。
-
⇒
粉末製造技術
[メニューへ戻る]
[カテゴリー一覧へ戻る]
[HOMEへ戻る]