Subject   : 冷却型赤外線センサ素子(量子型)

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 冷却型赤外線センサ素子(量子型)
冷却型赤外センサ素子は赤外信号放射の光子と電子の相互作用を利用するため、高い感度を持ち、応答速度が速いというメリットを有している。しかし、冷却部を必要とすることによるコスト、消費電力、サイズが大きくなるデメリットが指摘されており、同時に冷却部が微小振動源になるというリスクがある。また、感度に対する波長依存性があるといった特徴を有している。実用面ではHgCdTe(MCT)が依然として主流ではあるが、QWIP(QDIP)やTypeU superlattice の研究開発が進んでいる。 また、高温の観測対象(3〜4μm 程度)と常温の観測対象(8〜12μm)の同時観測を目的とする2 波長(中赤外+遠赤外)に感度を持つセンサの開発が進んでいる。

 ○ InSb(インジウムアンチモン)
InSb(インジウムアンチモン)は5μm 以下では最も性能が安定している。77mK 程度で動作可能。しかし常温付近(300K 程度)の放射帯は長波長側(8〜14μm)に強度を持つため、赤外センサとしての用途は限られてしまう。(例:火山活動監視、山林火災、ミサイル監視等)。 Lockheed Martin では、12μm、フレームレート125Hz、1~5.3μm で量子効率が90%以上のものが製品化されている。 Raytheon では、宇宙用として20μm ピッチ、2052×2052 画素のセンサモジュールが開発されており、80〜95%程度の量子効率を実現している。組み合わせて使用することにより4k×4k 画素のセンサが使用されている。 SCD(イスラエル)では、1280×1024 画素、フレームレート100Hz、NETD<22mK, 0.18μmCMOS プロセス、on-chip ADC ROIC のセンサが報告されている7)。 また、様々な用途(航空機搭載、携帯所持用、多目的用途用等)に応じ、検出器とデュワー、冷凍機を一体化したDDCA(Detector-Dewar-Cooler Assemblies)の形態にて販売を行っている。

 ○ MCT(HgCdTe)
MCT(HgCdTe)センサは光伝導型(PC:photoconductive)と光起電力型(PV: photovoltaic)に大別され、ともにn 型とp 型の境界面にできる空乏層で生成される電荷を読み出す。 PV 型はPC 型と比べてバイアス電圧を必要とせず、リニアリティが高い等というメリットがある。逆にPC 型の方が製造は容易である。どちらも熱雑音を抑えるために長波長においては液体窒素温度(77K)程度に冷却して使用される。応答速度が50〜300μsec、高速移動目標に対応可能。短波長(0.9〜2.5μm 程度)では100〜200K 程度の検出器温度にて観測が可能である。特にPV−MCT(〜15μm)は短波長から熱赤外まで最も多く使用されており、宇宙用としても多く実用化されている。また、長波長用の検出素子は、結晶の良否に依存するところであり、組成分布の制御が厳密に行える分子線エピタキシャル(MBE)の採用が進んでいる。
 ⇒ 赤外線センサ(infrared ray sensor)

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