Subject  : 地磁気(geomagnetism、geomagnetic)

カテゴリー : 地球科学 


 地磁気(geomagnetism、geomagnetic)
 地球圏の磁気(magnetism)。地球磁場にかかわる諸現象を地磁気現象と呼ぶ。地磁気自体は物理量を指すものではなく、実際の物理量は地球磁場の強さや磁気モーメント等によって表される。しかし、慣用的には地球磁場とほぼ同じ意味に使われることが多く、例えば、地磁気ポテンシャル(geomagnetic potential)という言葉では、地磁気は「地球磁場の」という意味で使用されている。

● 地磁気極(geomagnetic pole、dipole pole)
地芯双極子がつくる磁場の極。地芯双極子の軸を通る直線(磁軸)が地表と交わる点。磁軸極とも。北半球にあるものを地磁気北極(磁北極)または北磁軸極(north geomagnetic pole)といい、南半球にあるものを地磁気南極(磁南極)または南磁軸極(south geomagnetic pole)という。地磁気極は磁極とは異なり、南北半球の極は地球中心に対して点対称な位置にある。1990年の国際標準地球磁場によると地磁気北極は北緯79゜、西経71゜のグリーンランド付近に、地磁気南極は南緯79゜、東経109゜の南極大陸上にある 

● 地磁気異常(geomagnetic anomaly)
地球磁場の空間的分布のなかで、周囲の平均的地球磁場からの差をいう。磁気異常とも。平均的地球磁場は国際的に決められた国際標準地球磁場(International Geomagnetic Reference Field:IGRF、DGRF、PGRF)が一般的に使われる。IGRFやDGRFは、球面調和関数で表現されていて、次数はn=m=10までである。この波長に対応する原因の深さは外核の内側であることから、IGRFやDGRFは核内でつくられた磁場といえる。この磁場を、観測された磁場の値から差し引くと、マントルと地殻で発生した磁場が残る。ところが、マントルは地表地球磁場への寄与がほとんどないことがわかっているので、差し引いて残った磁場のほとんどは地殻で発生した磁場といえる。つまり地磁気異常は地殻がつくる磁場といえる。地殻はマントルと比べてその組成は非常に不均質であり、その結果、短い波長の地質構造に対応する地磁気異常が観測される。地磁気異常は鉱物資源を探査する際に利用する場合がある。正負の地磁気異常間の距離や振幅比は、磁気モーメントの伏角や偏角、それにその場所の地球磁場の伏角と偏角(IGRFで代表されるもの)に依存する。
 ⇒ 地球の基礎

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