Subject  : 変成作用(metamorphism)

カテゴリー : 地球科学 


 変成作用(metamorphism)
 変成作用(metamorphism)とは、いったんできた岩石(原岩)が熱や圧力などの作用を受け、その岩石を構成する鉱物の組み合わせや、岩石の構造が変化することをいう。変成岩の多くは固体のまま融解することなく形成されるが、変成作用の温度条件が高ければ岩石の一部が融解し、さらに融解したメルト部分が分離しマグマが形成されることもある。また低温の変成作用は、堆積岩が地下深部で熟成する続成作用と連続的である。このようにどこまでを変成作用と呼ぶかは明確に定義できるものではない。 変成作用には、接触変成作用(contact metamorphism)と広域変成作用(regional metamorphism)とがある。

一般に変成作用とは岩石が温度,圧力,化学的な条件の変化に対応して再結晶作用や化学反応を行い,鉱物学的あるいは組織構造が変化する過程をいう.新しく物質が添加される場合もある.起こる深さは風化作用,続成作用や膠結作用の地帯以下であって,流体の作用が支配的には影響しない場合をいう[Holmes : 1920, Mehnert : 1968].

変成岩の研究の初期の段階では変成作用に変質作用(alteration)と分解作用(decomposition)のすべてを含めていた[Van Hise : 1904, Leith & Mead : 1915].このように広義に変成作用を解釈する人々も,内容的には風化帯(weathering zone)と膠結帯(cementation zone)とに分けて区別している.ヴァン・ハイスやリースとミードは変成作用(metamorphism)を解析変成作用(katamorphism)と合成変成作用(anamorphism)とに分けている.現在では風化作用,続成作用,膠結作用などの変質作用は含めない.このような広義の変成作用の解釈は変質作用との区別がなくなり,適当な使用法ではない.語源を考えなければこれらの内因的な変質作用を制限した方が便利である[Daly : 1917, Tomkeieff : 1983].

初期の変成作用の研究では変形作用(deformation)に重点が置かれていたが,次第に化学変化が重要視されるようになった.しかし温度と圧力による作用のみを変成作用と解釈して,化学変化を別に交代作用(metasomatism)として区別する考えがあった.後に交代作用を合わせて変成作用と考えるようになったが,ターナーらは変成過程(metamorphic process)と交代過程(metasomatic processs)とを区別している[Turner & Verhoogen : 1951].

変成作用は物理的および化学的な環境条件の変化に対して鉱物学的・化学的および組織構造的に岩石が適応することである.一般には変成作用の温度の上限は岩石が熔融する温度であり,岩石の組成・種類や水などの揮発性成分により異なる.低温では変成作用は続成作用に移行するとされている.しかし高温部では部分熔融との区別が難しく,低温部では弱い変成相の存在が知られており,どの程度からを変成作用とするかは問題がある.ギリシャ語のmetamorphosisは形の変化の意味
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 ⇒ 地質年代表

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