Subject  : 変成相(metamorphic facies)

カテゴリー : 地球科学 


 変成相(metamorphic facies)
 変成岩にどのような鉱物組合せが生まれるかは総化学組成と変成の際の物理的条件(温度・圧力)の双方で決定される。どのような変成岩のグループが生まれるかによって後者(温度・圧力条件の一定範囲)を区分して命名したものを変成相という。

エスコラは1920年に変成帯の不備を補うため鉱物相(mineral facies)を考えた.これは温度,圧力条件で与えられた鉱物組合せで,ほぼ平衡状態で形成されたものについての取り扱いである.残晶を除いた鉱物組合せを考えた.エスコラは鉱物学的相律から,同一温度,圧力の条件下で変成した岩石をまとめて一つのグループとし,これを変成相と名づけた[Eskola : 1915].エスコラの鉱物相の考え方の特徴は,変成岩の形成条件の違いを一種類の鉱物ではなくて,鉱物の組合せとして理解していることである.鉱物組合せという考え方はゴールドシュミットによって鉱物学的相律として述べられているが,この理論を実際のすべての岩石群に適用したことに重要な意味がある .

エスコラの変成相の考えは火成岩にも適用されるので,火成岩の場合を火成相とし,変成相と火成相を合わせて鉱物相(mineral facies)とよんだ.その後変成相は発展したが,火成相は現在は用いられていない. 変成相はあらゆる化学組成であらゆる起源の岩石で,特定の物理的条件の組合せの条件で変成作用が行われ化学平衡に到達したものを含んでいる.ある変成相では,岩石の鉱物組成は変成作用が終わった時の全化学組成で純粋に決定される.この原理は,岩石の再構築が,温度上昇か温度下降,反応の機構,交代作用の存在,に応じて行われたかどうかに関係なく成立する[Eskola : 1920, 1922, Turner & Verhoogen : 1957].特定の相は特定の鉱物組合せが,温度および圧力の狭い範囲内でのみ安定であると定義されている.このように定義された相はcritical rock type またはcritical mineral assemblageと呼ぶ.同じ相に属する岩石をアイソグレード(isograde)またはアイソフェイシャル(isofacial)と呼ぶ。

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 ⇒ 地質年代表

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