Subject   : 長周期地震動

カテゴリー  : その他  


 長周期地震動
 2003年9月26日、襟裳岬東方沖でマグニチュード8.0の地震(平成15年十勝沖地震)が発生して行方不明者2名、負傷者849名、全壊住宅116戸という被害が生じ、震度は9つの町で最大震度6弱を記録しました。  この地震で震源から約200km以上離れた苫小牧市では震度5弱で一般の建物に被害らしい被害がなかったにも係わらず石油タンク群に被害が生じました。苫小牧市周辺にある千キロリットル以上の石油タンク249基のうち、170基に被害が出てそのうち2基に火災が発生しました。長周期地震動によりタンク内の液面が共振によって大きく揺れるスロッシング現象が生じたことが原因とされています。

 数秒から20秒程度の長周期の地震動を工学分野では長周期地震動と呼んでいます。木造家屋や低層建物は1秒程度以下の固有周期を持っていますが、超高層ビル・長大橋・石油タンクなどの固有周期は数秒から10秒少々であることが多いことから長周期地震動によって構造物が共振する可能性があると指摘されています。

 2004年9月の紀伊半島沖を震源とするM6.9の地震と東海道沖を震源とするM7.4の地震の後の点検で、千葉県にある石油タンクにスロッシングが発生していたことが分かりました(情報源は消防研究所)。地震の規模が比較的小さく震源からの距離が離れているにもかかわらずこのようなスロッシング現象が確認されたことは大きな懸念になっています。

 プレート境界型(海溝型)の巨大地震の場合は長周期の地震波が効率的に発生します。震源から遠く離れていてもエレベータの障害、石油タンクのスロッシング、超高層ビルの大きな揺れなど長周期地震動特有の現象が生じます。
 80年代後半から90年代前半に建てられたビルは設計上の余裕が小さいといわれ、さらに長周期地震動によって想定以上の大きな揺れに見舞われるかもしれません。

 高層ビルが林立する日本の大都市は本格的な長周期地震動を経験していません。東海・東南海・南海地震といった巨大地震が発生すれば大阪や名古屋では経験したことのないような被害が顕在化する可能性あり、東京でさえその影響下にあるといわれています。
  ⇒ マグニチュードと震度
  ⇒ 地震の震度と被害程度

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]