Subject   : 地すべりと土石流(どせきりゅう)

カテゴリー  : その他  


 地すべり
 山地や丘陵などの斜面で地塊が下方あるいは側方に移動する現象を崩壊といいますが、ある種の崩壊を一般の崩壊と区別して地すべりと呼んでいます。

 地すべりは一般に徐々に移動を生じ、その速度は比較的緩慢であり、1回の滑動で安定することなく再発する特徴があります。また、地すべり土塊は原形を保ったまま滑動する場合が多く、共通の地質状況下で多発しています。  地すべりは粘土と深く関わっており、粘土が地下水の作用を受けるとその強度が低下するとともに間隙水圧が増大することになり、粘土中でセン断破壊が生じることによって地すべりが発生します。

 地すべりが発生して地塊が移動・堆積することによって、元の地形より急な斜面や緩斜面など特徴的な地形が形成されます。山間地での緩斜面は地すべりが繰り返し発生することによって生まれた場合が多く、緩斜面上部に池を伴う場合もまれではありません。このような場所は狭いながらも米が作れること、宅地として利用しやすいことから集落が形成されることがあります。従って、地すべりが再発した場合、そこには集落が存在する可能性が大きく、結局のところ、地すべりは住宅・宅地、耕作地などを損壊させるために、人の生活基盤と大きな関わりを持つことになります。また、地すべりにより土砂が渓流に流れ込むと土石流の原因となり下流域の災害に結びつので、広域的な視野での対策が必要になります。
 土石流(どせきりゅう)
 豪雨などによって斜面が崩壊して渓流に落ち込むと、土砂や渓流の堆積物が流水とともに急速度で流れ下る現象が生じることがあります。これを土石流といい、道路や橋梁、人家を押し流すことによって土砂災害が発生することがあります。
 土砂の移動形態として、固体(土砂)と気体(空気やガスなど)との混相流や、固体(土砂)と液体(水)との混相流があります。土石流は、固・液混相流であり、通常の流水で運搬される土砂量より遥かに大量の土砂が流出します。土石流の流れの特性や堆積の特性によって、砂礫型土石流、泥流型土石流、土砂流に別けられます。

 砂礫型土石流の場合は先端部に巨礫が集まっており、直進性が強く、先端部の巨礫による衝撃により大きな破壊力を伴います。先端流速は数m/sであり、しばしば直径2〜5m程度の巨石が含まれています。 先端部に巨礫が集中し、先端部の後には液状の土砂(泥流や土砂流)が後続流として伴います。

 土石流の流下速度が低下して堆積を開始する場所は、谷の出口、扇状地の頂部、支流の合流点、狭窄部の出口、地形勾配が10度以下のところなどになります。  活火山地域で発生する泥流型土石流は、より勾配の緩やかな場所まで流下するので、危険区域は下流側に拡大します。
 人家五戸以上あるいは学校、病院などの重要建物があるという条件の土石流危険渓流は全国で約8万渓流に及んでいます。土石流災害を回避するためには、砂防ダムのような対策工の他に、危険地域の住宅の移転や住宅の増加防止対策が必要です。
  ⇒ マグニチュードと震度
  ⇒ 地震の震度と被害程度

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