Subject  : 食中毒

カテゴリー: 健康・医療情報 


 食中毒
食中毒は大きく分けると「細菌性食中毒」、「自然毒食中毒」(フグや毒キノコなどによるもの)、「化学性食中毒」(有害化学物質が食品に混入して起こる)の三種類になります。自然毒や化学性のものは数が少なく、90%は細菌性です。
O―157のように、感染力が非常に強く、指定伝染病になって いるものもありますが、他にもたくさんの種類があります。 食中毒を引き起こす主な細菌は以下のようです。
症状 メモ
サルモネラ菌 牛や豚、鶏などの腸に寄生し、菌に よって汚染された食肉や卵などが感染 源となる。ネズミやゴキブリが汚染源 となることも。低温8℃以上)や乾燥に 強いが熱には弱いので、加熱すれば心 配ない。
カンピロバクター 牛、豚、鶏、犬、猫などの腸に寄生し、こ れらの動物の糞便などから感染する。 熱や乾燥に弱いが、少量の菌でも食中 毒を起こす特徴あり。ペットの扱いに は十分注意が必要。また、肉料理には十 分加熱を。
腸炎ビブリオ 海水中に生育し、この菌に汚染され た魚貝類の刺し身などによって、6〜9月 にかけて中毒が多発する。菌は30〜37 ℃で最もよく増殖し、10℃以下の低温 では増えない。熱に弱く、加熱すれば心 配ない。
ボツリヌス菌 広く自然界や動物の腸などに分布。 酸素が不十分な状態で室温に保存され ると、増殖して毒素を出し、体内に入る とマヒなどの重い症状が現れる。80℃、 3分間の加熱で毒素は破壊されるが、菌 事体は低温下でも繁殖する。 (魚のくん製や、酢漬け、塩漬けにも注意)
ブドウ球菌 調理人の手や指、とくに傷があって化 膿している場合、食中毒がおこりやす い。適当な温度と湿度で増殖し、毒素を 作る。毒素は耐熱性で、加熱しても効果 がない。調理された食品は低温で保存 し、早めに食べること。
ウェルシュ菌 広く自然界や動物の糞便中に存在す る。この菌に汚染された肉や魚を加 熱調理し、長時間室温で放置したもの を食べたときに食中毒が起こる。加熱 調理後も室温に放置せず早めに食べる こと。

● サルモネラ
食中毒で最も多いのがこのサルモネラ菌によるものです。約2,000種類あり、鶏、鶏卵、豚、牛、鰻などの動物の腸管、河川、下水などに幅広く分布しています。近年増加しているのはサルモネラ・エンテリティディスという種類で、これは鶏卵が原因といわれています。卵焼きや自家製マヨネーズなどによる中毒が多く、また割りおきした卵を常温で放置したため菌が増殖して中毒するケースも目立ちますから、取り扱いに注意したいものです。この菌も加熱すれば死滅します。
 潜伏期間は8〜48時間で、発熱、腹痛、下痢、嘔吐、頭痛などの症状が出ます。熱は39度以上の高熱で、嘔吐が激しいのが特徴です。成人でも急死する例もありますから、決して油断はできません
● カンピロバクター
潜伏期間は2〜7日。発熱、腹痛、下痢などの症状が出ますが、比較的軽症で、塩分と水分を補うだけで自然に治ることが多いようです。 けいれん性の痛みなどが起こり、重症になることもあります。下痢に血が混じり、約38〜40℃の熱が出ることもあります。血流に菌が侵入すると、さまざまな臓器に感染が広がるおそれがあります。
ほかに関節が赤く腫れて痛む、腹痛、肝臓や脾臓が肥大するなどの症状がみられます。まれに、心臓弁に感染して心内膜炎を起こしたり、脳や脊髄を包む膜に感染して髄膜炎を起こすこともあります。
 この菌は熱と乾燥に弱く、常温の空気中では徐々に死滅します。注意したいのは、鶏のささみ、バーベキュー、焼き豚などの加熱不足。また、ビルの受水層の水や井戸水は定期的に検査することが必要です。ペット、ネズミなども保菌の可能性。 この菌は低温に強く、4℃程度でも長期生存するので冷蔵庫の過信は禁物です。予防は、調理に際してきちんと火を通すことに尽きます。
血流感染の場合は、シプロフロキサシンやアジスロマイシンなどの抗生物質が必要です。
● 腸炎ビブリオ
潜伏期間は8〜24時間。下痢、腹痛、嘔吐、発熱などの症状が出ます。数日で回復するケースが多いのですが、お年寄りや乳幼児ではまれに死者が出ることもあります。
夏になると、近海産のアジやサバ、タコやイカ、赤貝などの内臓やエラなどに付着しています。これらを生食用のさしみにするとき、さしみに移って感染します。 また、魚介類に付着した腸炎ビブリオが、冷蔵庫の中やまな板などを通じて他の食品を汚染し、その食品から食中毒をおこすこともあります。
病原体はビブリオ・ブルニフィカス。カゼや食あたりと間違えやすい症状です。しかしその後、症状が変化して皮膚に水疱ができたり、壊死性筋膜炎による筋肉痛が起き、血圧が低下します。敗血症になると5割以上が死に至るという危険な菌です。
● ブドウ球菌
潜伏期間は30分〜6時間。2〜3時間で激しく吐き、下痢を伴う場合もありますが、回復は早く、食中毒として届けられないケースも多いようです。 腹部のけいれん痛や下痢もみられ、ときに頭痛や発熱が起こります。
ブドウ球菌食中毒は細菌自体によるものではなく、食物中にすでに存在する毒素を摂取することによって起こるものです。
おにぎりや弁当、サンドイッチやケーキなど、さまざまな食品が原因となります。 カスタードクリーム、クリームパイ、牛乳、加工肉類、魚類などが毒素に汚染されやすい典型的な食品です。 ほとんどの場合、菌が調理する人の手から伝わって食品に取り込まれます。 特に、調理する人の手や指に傷や湿疹があったり、傷口が化膿しているような場合は、食品を汚染する確率が高くなります。 汚染された食品の中で毒素をつくります。この毒素は熱や乾燥にも強いという 性質があるので、十分な注意が必要です。

 ⇒ 魚介類による中毒

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