Subject  : 再生不良性貧血

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 再生不良性貧血
骨髄不全による貧血を再生不良性貧血といいます。 再生不良性貧血は血液中の白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する疾患であ ります。この状態を汎血球減少症と呼びます。白血球には主に好中球とリンパ球の2種類がありますが、そのうち好中球が減少します。これらの血球は骨髄でつくられていますが、本症で骨髄を調べると多くの場合脂肪に置き換わっており、血球をつくっていません。そのために貧血症状、感染による発熱、出血などの症状を起こす重い病気です。

骨髄中の造血幹細胞が何らかの原因で障害されて 起こる病気です。 造血幹細胞とは骨髄中にあって、赤血球、好中球、血小板の基になる未熟な細胞であります。赤血球、好中球、血小板は骨髄で完成すると血液中に放出され、その後赤血球は約120日、好中球は半日、血小板は約10日で壊れます。健康な人では造血幹細胞からこれら3種類の血球が絶えずつくり続けられて、毎日壊れた血球分を補っています。再生不良性貧血ではその造血幹細胞が何らかの原因で障害されて、3種類の血球が補給出来なくなってしまったわけです。
生まれつき遺伝子の異常があって起こる場合とそうでない場合がありま す。 生まれつき起こる再生不良性貧血を先天性再生不良性貧血と呼び、ごく まれな疾患です。 人の名前が付けられたファンコニー貧血とも呼ばれます。後者は後天性再生 不良性貧血と呼ばれ、これが大部分を占めます。 原因不明の例を特発性再生不良性貧血と呼び、原 因のある例を二次性再生不良性貧血と呼びます。原因不明の例の大多数は自己免疫的な機序による造血幹細胞の障害が考えられています。(自己免疫疾患) その他の原因には、パルボウイルス感染、放射線、ベンゼンなどの毒物、化学療法薬、その他の薬剤(クロラムフェニコールなど)があります。

 【症状】
症状は赤血球、好中球、血小板の減少による症状です。赤血球は酸素運搬 を行っているのでその減少で身体の酸素欠乏の症状が起こります。酸素欠乏は主に、脳、筋肉、心臓に起こります。脳の酸素欠乏でめまい、頭痛が起こり、筋肉の酸素欠乏で身体がだるくなったり、疲れやすくなったりします。心臓の酸素欠乏で狭心症の症状、つまり胸痛が起こることがあります。それ以外に身体の酸素欠乏を解消しようとして、呼吸が速くなったり、心拍数が多くなったりします。呼吸が速くなったこと を息切れとして感じ、心拍数が速くなった状態を動悸として感じます。赤い赤血球が減るので顔色も蒼白になります。 白血球のうち好中球が減ります。白血球のうち好中球は主に細菌を殺 し、リンパ球は主にウイルス感染を防ぎます。したがって、好中球が減ると肺炎や敗血症のような重症の細菌感染症になりやすくなります。 血小板は出血を止める働きをしているので、その減少によって出血しやすくなります。よく見られるのは、皮膚の点状の出血や紫斑であります。それ以外に鼻出血、歯肉出血が起こり、ひどくなると脳出血、血尿、下血なども起こることがあ ります。

 【治療法】
治療法としては、
1.蛋白同化ステロイド療法、
2.免疫抑制療法:シクロスポリンまたは抗胸腺細胞グロブリン(英語の頭文字をとってATGあるいはALGとも呼ばれています)
3. 骨髄移植、
4.サイトカイン療法、
5.支持療法があります。

蛋白同化ステロイド薬は腎臓に作用し、赤血球産生を刺激するエリスロポエチンというホルモンを出させます。それが骨髄に作用して病気を改善させます。 中等症の方には抗胸腺細胞グロブリンによる免疫抑制療法があります。

 ⇒ 貧血

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