Subject : プリオン病
カテゴリー: 健康・医療情報 >
プリオン病
-
プリオン病は、「プリオン」と呼ばれるタンパク質が感染性のある異常な形態に変化して脳内で増殖・沈着し、さまざまな精神症状や運動失調、認知障害などを引き起こす病気です。
プリオンには正常型と、タンパク質の立体構造が変化した異常型があります。異常型のプリオンは脳に感染すると、凝集してアミロイド線維(タンパク質の固まり)となって脳に沈着し、脳の機能を障害します。
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)や致死性家族性不眠症など、異常なプリオンが原因の病気を総称して「プリオン病」と呼びます。
プリオン病は、ヒトや動物における神経変性疾患のある一群の総称です。
いずれのプリオン病においても、もともと体内(特に脳内)にあるプリオンと呼ばれるタンパク質が構造の変化をおこし、その結果中枢神経を冒していきます。構造変化を起こした感染型プリオンタンパク質が正常なプリオンタンパク質を感染型に変えてしまうゆえ、プリオンは感染性を持ちます。この感染性ゆえに乾燥硬膜移植後クロイツフェルトーヤコブ病(CJD)や牛海綿状脳症(BSE)由来とされるプリオン病(variant CJD)の危険性が社会的な問題になっています。
ヒトでは、プリオン病は弧発性、遺伝性、感染性の3種類に分類されます。弧発性では年間100万人に一人の割合で発症が見られます。これは体内にある正常型のプリオン(PrPc)が、たまたま感染型プリオンの形に変化してしまうため、発症してしまったものです。遺伝性は、患者のプリオンタンパク質のアミノ酸の変化によるもので、このアミノ酸の変異によって正常プリオンが異常型へ変換しやすくなっているためです。 感染性は、主にプリオン病に感染した組織(乾燥硬膜、角膜)の移植を受けて感染して起きるものです。また BSEが大流行したイギリスでみられる変異型プリオン病 (vCJD)は、BSEに罹患した牛を食したことより発症したのではないかと強く疑われています。
- 【症状】
-
典型例では、亜急性(急激ではないが徐々に進行する)に認知機能が低下して、数カ月のうちに言葉が出なくなったり、寝たきり状態になったりするなど認知症のような状態にまで進行します。
また、異常なプリオンが蓄積する部位によっては、小脳症状(ふらつきやバランスの障害)、パーキンソン症状(手足の震えや筋肉のこわばり)、ミオクローヌス(自分の意思に反して四肢がピクッと動く)といった症状も出現します。
初期症状としては、めまい、しびれ、起立・歩行障害、視覚異常、記憶障害、言語障害、頭重感、不随意運動などが現れます。
筋肉の収縮が勝手に起こり、記憶力はひどく衰え、しばしば人やものの認識もできなくなり、終末期には言葉もしゃべらず呼びかけても反応しなくなります。
対象 |
分類 |
メモ |
ヒト |
弧発性 |
弧発性クロイツフェルトーヤコブ病 (CJD) |
遺伝性 |
家族性プリオン病( CJD, GSS) |
感染性 |
医原性プリオン病(乾燥硬膜、角膜移植、等) |
ウシ |
牛海綿状脳症 (BSE) |
ヒツジ |
スクレーピー |
シカ |
Choronic Wasting Disease |
⇒
神経変性疾患
[メニューへ戻る]
[カテゴリー一覧]
[HOMEへ戻る]
[前のページに戻る]