Subject  : 神経変性疾患

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 神経変性疾患
「神経変性疾患」とは、その名の通りさまざまな神経が変性していく病気の総称です。この中には、以下のようなものがあります。

病名 メモ
アルツハイマー病 代表的な老人性認知症疾患のひとつ。60歳以上では10万人当たり2000人を越える有病率
パーキンソン病 ふるえが典型的。10万人当たり80-100人の発症率。
筋萎縮性側索硬化症(ALS) 10万人当たり3-5人の発症率。
ポリグルタミン病 ハンチントン舞踏病などの遺伝性疾患
プリオン病 BSE(ウシ海綿状脳症)や硬膜移植による伝播が問題となっているクロイツフェルト-ヤコブ病など。


 これらの「神経変性疾患」はそれぞれ特有の症状(認知症・運動失調・ふるえ・筋力低下など)を示し原因不明でこれらの病気を根治させる治療法は残念ながら現状ではないとされてきました。しかし最近の研究により、これら「神経変性疾患」の共通の病態として異常な構造を持つタンパク質凝集体(「封入体」と呼びます)が神経細胞に蓄積することが突きとめられました。
 神経細胞を含め私たちの身体を構成している細胞は、遺伝子という設計図に基づいてタンパク質を作ります。タンパク質はさまざまな酵素や身体を構成する成分となりますが、正しい立体構造をもつものは個々の機能を果たせますが、実は設計図通り作られても約3分の1程度のタンパク質は正しい構造を持てずに作られてすぐに壊されているのです。この異常タンパク質を見分けて壊す役割は「シャペロン」や「ユビキチン・プロテアソーム」と呼ばれる一群の細胞内のタンパク質が担っています。「シャペロン」は合成されたばかりのタンパク質に正しい立体構造を持たせるように助ける働きをもつもので、傷害されたタンパク質の修復や除去にも役立っています。また「ユビキチン」は異常な構造を持つタンパク質に付けられる荷札の働きをするもの、「プロテアソーム」は「ユビキチン」の付いたタンパク質を破壊する酵素です。
 「神経変性疾患」で見られる多くの「封入体」を調べてみると、これらの「シャペロン」や「ユビキチン・プロテアソーム」が含まれていることがわかってきました。このことは、「神経変性疾患」の起こる原因のひとつは異常タンパク質を見分けて壊す働きが減衰しているためと考えられます。この働きがなぜ減衰していくのか、またどうして封入体が神経変性を引き起こすのかという点について、現在盛んに研究が進められています。それは、異常タンパク質がきちんと管理されている状態が保たれることができれば治療に繋がるものと考えられるからです。

 ⇒ 神経系の病気の症状

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